/Dev TFT: インクボーン フェーブルを振り返る

ゲームデザインディレクターのRiot Mortが「インクボーン フェーブル」を振り返ります。

「インクボーン フェーブル」も残すところ約1か月となりました。そこで、例によって1年間の振り返りを行います。こちらの記事では、セットの総括や高く評価された点、低く評価された点、そして開発側で考えているいくつかの洞察についてお話します。深掘り記事の恒例として、TFTを最高のゲームにするための考え方の枠組みを示していきますので、お気に入りの紅茶を片手にリラックスして、TFTの世界がどう作られているのか見ていきましょう。


11回目となる今回の振り返り記事では、新たな形式でセット全体を振り返りながら、「インクボーン フェーブル」の成功点や得られた教訓、短所などを共有していきます。初めて形式を変更するため、前回の振り返り記事で述べたすべてのトピックに対応できるよう最善を尽くします。前回の振り返り記事はこちらから。


セットテーマ

まずは軽く、アートディレクターと一緒にセットのテーマについてお話します。今回のセットでは、「リミックス ランブル」のハイテンションな雰囲気から「インクボーン フェーブル」のリラックスしたムードにスムーズに移行できたのではないでしょうか。それでは振り返っていきましょう。

  • アート:「リミックス ランブル」が音楽セットだったとすれば、「インクボーン フェーブル」はアートセットだったと言えます。プレイヤーの皆さんは私たちと同じくらい東洋ファンタジーが大好きで、ライアットにはさまざまなLoLスキンシリーズや「宿命」セットで作成した素晴らしい作品のバックカタログがありました。しかし、本セットではそれらの既存リソースに加えて、東洋のアート、物語、文化の文化顧問を招きました。遭遇シーンから巻物のようなアートワークまで、「インクボーン フェーブル」全体に格式高い雰囲気を持たせ、できるだけリアリティのある世界観を実現するためです(もちろんファンタジーの設定として可能な範囲でですが)。特に、山海絵巻伝の世界が今回の世界観に大きなインスピレーションを与えたことは強調しておきたいです。これほどの調査と探求を必要とするセットは珍しく、開発チームとしても「インクボーン フェーブル」の美的完成度には非常に満足しています。

  • オリジナルキャラクター:これまでにもいくつかTFT限定ユニットを作成しましたが、「インクボーン フェーブル」はルーンテラユニバース全体でも初めてオリジナルキャラクターを作成したセットになりました。これについては詳しくは触れませんが、詳細はこちらの記事の全文をご覧ください。TFT では、リーグ・オブ・レジェンドに由来しない新しいキャラクターやスキンを引き続き導入する予定です。

さて、次はゲームプレイの話に移りましょう。

パワーフレームワークとコストの有効性

セット前半で苦労したことの一つは、適切なパワーストラクチャーを確立することでした。セットの初期段階では、3-2の段階で★★★の2コストユニットを、4-1の段階で★★★の3コストユニットを早期に完成させるプレイヤーが多く見られました。これらのユニットは★★の4コストユニットよりもはるかに強力だったため、それが妥当な選択となっていたからです。さらに、他のプレイヤーが同じティアのユニットをリロールしていた場合は、3コストのリロール戦略も非常に強力になっていました。しかしその反面、セットの初期段階では、4コストユニットが主に特性要員として使用され、より強力な5コストユニットのためにスキップされることが多かったのです。

そこで、私たちは修正を加え、★★★チャンピオンの獲得を難しくし、4コストユニットの強さを向上させました。ところが、これに伴い今度は4コストユニットがゲームの主流となりすぎてしまいました。その後、時間をかけてこのバランスを調整し、適切な落としどころを見つけていきましたが、それでも特定のコスト帯が有効でないと感じる部分が残りました。特に3コストのリロールが好きなプレイヤーにとって、数パッチの間そのプレイスタイルで遊べないのは辛いことでした。

もちろん、開発チームとしてはどのコストバケットのチャンピオンも望ましい状態にし、いつでもプレイヤーが好きなチャンピオンをプレイできるようにしたいと考えています。そこで、コストやスターレベルごとの開発意図について、もう少し詳しく説明しましょう。

  • 1コスト: ★★の1コストチャンピオンは、ステージ2で盤面を安定させ、連勝を狙う際に役立ちます。しかし、ステージ3以降でもまだ★★の1コストチャンピオンを使っていると、成績が落ちてしまう可能性が高いため、アップグレードが必要です。★★★に昇格すれば、終盤でキャリーとして活躍する可能性もありますが、勝利するためには特性を最大限に活かしつつ、4コストユニットや5コストユニットのサポートが必要となります(例えば、コグ=マウのリロールと7ミシックの組み合わせがいい例です)。

  • 2コスト:2コストのキャラクターは、★★の時点ではステージ2とステージ3で非常に強力です。しかし、ステージ4に入ると、4コストのキャラクターが登場し始めるため、取り除く必要が出てくるでしょう。一般的には、★★の2コストキャラクターを★の4コストキャラクターに交換することで、若干の強化が期待できます。★★★になると、2コストのキャラクターでも最終盤面のキャリーとして活躍でき、★★の4コストキャラクターと同等の力を持ちますが、それでもゲームに勝つためには強力な構成が必要です(6ドライアド ナーがいい例です)。2コストのキャラクターは、早くてもステージ3-5で登場するのが理想的でしょう。それより早く登場する場合は、バランス調整としてその強さを抑える必要が出てくるかもしれません。

  • 3コスト:3コストのキャラクターは★★になれば、中盤戦の頼もしいキャリーとなります。ステージ3で素晴らしい成績を収めることができ、適切な盤面が整えばステージ4でも活躍します。また、★★の4コストキャラクターよりは少し頼りないものの、★の4コストキャラクターよりは強力です。適切な盤面が整えば、レベル9に到達することも可能です。★★★になると、一般的に★★の4コストキャラクターよりも若干強くなりますが、能力を最大限に発揮するためには特性や強力なサポートが必要になります(例えば、★★★の6アンブラル アルーンがいい例です)。ここで重要な点は、プレイヤーが★★★の3コストキャラクターに到達するのは、★★の4コストキャラクターよりも遅くなるべきだということです。もしリソースが多すぎたり、ショップ運が良すぎたりして、早い段階(例えばステージ4で)で★★★の3コストキャラクターに到達してしまう場合、バランス調整としてそのパワーを★★の4コストキャラクターと同等に減らす必要があります。

  • 4コスト:4コストのキャラクターはTFTにおける主要なキャリーであり、多くの編成はこのキャラクターたちを中心に設計されています。ほとんどの多人数構成オリジンは4コストのキャラクターを基盤としており、標準的なプレイスタイルにおける編成の中心的な存在となります(例えば、「フェイト」シンドラ、「デュエリスト」リー・シン、「ミシック」リリアなどがいい例です)。これらのキャラクターは通常、ステージ4で本格的に活躍し、最終盤面を担います。

  • 5コスト:5コストユニットは、編成の要となる存在であり、4位と1位を分ける重要な要素です。編成を最終盤面に導くユニットでもあります。すべての5コストユニットを使う必要はありませんが、できるだけ多くの5コストユニットを揃えることで、チームに大きな利点がもたらされるでしょう。例えば、「トリックショット」のザヤや「デュエリスト」のイレリアはそのいい例です。また、汎用性の高い5コストユニットも重要です。「脅威」と似たレジェンダリーユニットを手にすることで、チーム全体の強さを引き上げることができます。分かりやすい例で言うと、莫大な体力プールを持つウディアや、スプラッシュ特性が揃ったウーコン(ヘブンリーとセージ。また彼自身も非常に強力です)。さらには、チャンピオンを複製する能力を持つフェイなどが挙げられるでしょう。

今後の課題としては、リロール編成のアクセスのしやすさと相対的な強さのバランスを取ることが挙げられます。リロールが簡単すぎるとユニットが弱くなり、逆に難しすぎるとリスクに見合わなくなります。今回のセットでは、そのバランスをより良い状態にできたと考えていますが、バランスチームは各セットのリリース時に引き続きこの点に注目していきます。現段階では、開発チームはフレームワークとシステムが正しい位置にあると考えており、今後のセットでも迅速に正しいバランスを見つけやすくなるでしょう。

遭遇

遭遇は、「インクボーン フェーブル」の主要なセットメカニクスでした。良くも悪くも、このシステムによってTFTの基本体験に多くのバリエーションが加わり、毎回のゲームがユニークな冒険のように感じられました。何しろ、何が(そして誰が)出現するのか予測できないのです。結果的にこのメカニクスは目標を達成できたと言えますし、ほとんどのプレイヤーにとってはTFTを楽しめる要素のひとつと捉えられていました。

しかし、全てのプレイヤーがそう感じたわけではありません。 一部のプレイヤーにとっては、その不確実性と予測不可能性のせいで、ゲームプランの最適化や戦略立案が困難になりました。確固たるプレイ方法を最適化するのが好きなプレイヤーにとっては、大きな不快感やフラストレーションの原因となったのです。例えば、「素材アイテムの金床」を2個手に入れるだけでも、計画通りに活用できなければ戦闘の勝敗が大きく変わります。おまけに、ラカンの混乱回復装置のようなとんでもない影響を与える遭遇もあります。一般的に、この統制の欠如は特定のプレイヤー層にはあまり魅力的ではありませんでした。さらには、オーグメントを移動させるリリアの遭遇などについても、楽しいと感じるプレイヤーもいれば、そうでないプレイヤーもいたようです。全てのオーグメントがステージ2に登場するのはプレイヤーにとって非常にクールな体験でしたが、ステージ4以降までオーグメントが全く登場しないのはスティルウォーター刑務所に近すぎて、一般的にはあまり楽しいものとはなりませんでした。

また、ゲームデザインの観点から見ると、遭遇とポータル、オーグメントの組み合わせによって、アイテムやゴールドなどの追加リソースの活用可能性を限界まで押し広げました。スカトルパドル、序盤のタム・ケンチの遭遇、プリズムスタートが組み合わさると、それはもうワイルドな盤面になりましたよね!リソースのインフレレベルがいくつかのゲームで天井に達し、ひいては天井を突き破ることもできていたため、今後は少し抑えようと考えています。

では、結論としてはどうでしょうか。繰り返しになりますが、コンセプトとして遭遇をセットメカニクスに取り入れたことには満足しています。斬新かつユニークなメカニクスでしたし、「インクボーン フェーブル」が記憶に残る理由の一つです。しかし、他のセットメカニクスと同様に、「遭遇」は長期的にTFTに残すものではありません。次のセットメカニクスは全く異なるものなので、遭遇がすぐに再登場することはないでしょう。しかし、遭遇はプレイヤーの好みについてまた新しい教訓を学ばせてくれました。この経験を今後のメカニクスや機会に活かしていきます。

特性デザイン

すべての特性についてここで話すことはできませんが、今回のセットでは覚えておきたい2つの重要な教訓がありました。まず一つ目は、「ゴースト」と「ヘブンリー」を、例えば「龍王」のような特性と比較した場合における問題点です。。

これまで、チームのパワーアップに貢献する小規模な特性は非常に有益でした。これらの特性を状況に応じて必要な分だけ取り入れることで、チームの強さを柔軟に高めることができるからです。例えば、魔法防御が必要な場合、ミスティックを2つ加えたり、空きスロットがある場合、アルトゥリストを追加して防御力を強化したりできますね。チームを強化する小規模な特性があること、さらにはそれらをたくさん活用することでリミックス ランブルの「ジャズ」ビルドや「瞬身護法」ビルドのようなものを作れることには何の問題もありません。このような柔軟性は、チーム編成の多様性を広げる素晴らしい方法です。

しかし、問題が発生するのは、多人数構成の特性(6体以上のチャンピオンが含まれる特性)でチーム全体のバフ要素があり、その特性の主要なチャンピオンが他の自己充足的な特性を持つチャンピオンよりも潜在能力が低いため、十分に恩恵を受けられない場合です。簡単に言うと、多人数構成特性の最適なキャリーがその特性に含まれていない場合、設計ミスが発生していると言えるでしょう。「ゴースト」の主要キャリーがザイラやセナなのはプレイヤーにとっていささか違和感がありますし、そのせいでモルガナやケインのようなチャンピオンが容易に力を発揮できなかったため、ずいぶん弱く感じられていました。同様に、「ヘブンリー」でもウーコンよりもリー・シンがキャリーとして使われることが多かったです。また、どちらの紋章(クラフト可能)もあまり魅力的ではなく、これらをチャンピオンに装備させるのが正しい選択ではない状況が生まれてしまいました。その結果として、紋章は有効に活用されず、むしろ使い道のないユニットに装備されてしまうことが多くなっていました。

「ヘブンリー」については多少改善できましたが(完全ではありません。主に非ヘブンリーのチャンピオンが多人数構成ヘブンリーに使われていました)、セットの構造上、「ゴースト」については十分に対処することができませんでした。ですので、セット初期から中期にかけて、ケイトリンとエイトロックスがキャリーするには極めて厳しい環境だったでしょう。


要するに、将来的には、多人数構成の特性に主となるスターが必要であり、その特性内のチャンピオンに自己充足的なパワーを持たせる必要があります。小規模な特性も引き続き用意しますが、今回のセットから重要な教訓を得ました。

次に触れたいのは「イグゾルテッド」です。この特性を使いこなすのは実に楽しく、特にゲームをやりこんでいるプレイヤーたちは、毎回この特性を巧妙に取り入れる方法を模索しながらユニークなゲーム体験ができたかと思います。「イグゾルテッド」が5つ揃った場合のボーナスを価値のあるものにするのには少し苦労しましたが、全体としては極めて斬新なアイデアでした。 毎回「イグゾルテッド」のような特性を用意することはできませんが、プレイヤーのスキルレベルに関係なく楽しめる健康的な変化をゲームにもたらしてくれました。将来的にこの特性が再登場する可能性は高いです。「特性のローテーション」の概念が続く限り、特性の効果(特性が何をするのか)を毎回変更することができるためです。そういうわけで、「イグゾルテッド」は「インクボーン フェーブル」のハイライトの一つと言えるでしょう。またいつか、再び取り上げることを楽しみにしています!

複雑さの上限

以前にも少し触れたことがありますが、今回のセットを通じて再確認できたことがあります。それはTFTが現在、複雑さの限界に達しているということです。これ以上複雑にしてしまうと、新規プレイヤーだけでなく、数セットお休みしていた復帰プレイヤーにとっても難解になってしまいます。 次の数セットにわたって、ゲームの奥深さや楽しさを損なうことなく、この複雑さの上限を下げる試みを行います。ゲームの奥深さは特に重要です。そのため、TFTの奥深さを保ちながら、不要な複雑さを取り除く方法を見つけることが求められます。

具体例を挙げてみましょう。しばらくぶりにインクボーン フェーブルでTFTのゲームをプレイする場合、最初に目にするのは何でしょうか?3つのポータルです。プレイヤーはそのポータルの説明に目を通し、その意味を理解し、どれを選ぶかを決める必要があります。そして、どれが選ばれたかを確認し、それに基づいて戦略を立て始めます。これは初めてのプレイヤーにはおそろしく多い情報量です。

この点について、私たちは改善の余地があると考えています。次のセットには間に合わないかもしれませんが、将来的には何らかの形でポータルに修正を加えるつもりです。現在のポータルの楽しさを、新規および復帰プレイヤーを置いてけぼりにしない方法で取り入れたいと考えているからです。具体的な内容はまだお伝えできませんが、これは改善できる領域の一例です。他にも将来に向けた改善案はいくつかありますが、これを私たちの大きな焦点として挙げておきます。この目標を追求するために、最も基本的なデザインにも手を加えるつもりです。それでは、複雑さについて語ったところで、それに関連するトピックに移りましょう。

チャンピオンの直観的な分かりやすさ

この話題は前回の記事でも簡単に触れましたが、「インクボーン フェーブル」には良い例も悪い例もあったため、再度取り上げる価値があると判断しました。プレイヤーがチャンピオンを見て、すぐにその役割を理解できることは非常に重要です。例えば、チョ=ガスを見ると「この大きなキャラクターは前線でタンク役をするんだな」と直感的に感じることができます。これにより、ゲームが学びやすく、親しみやすくなるのです(前回の記事で触れた通りです!)。

今回のセットには、厄介な例がいくつかありました。例えば、通常はダメージディーラーであるヤスオがタンク役というのは、その一匹狼のサムライというイメージと合わず、ガーゴイル ストーンプレートを装備する姿を想像するのは難しいと言えるでしょう。また、エイトロックスとリヴェンについても同様で、2体ともダメージディーラーとしてデザインされましたが、 スキルやアップデートの影響で、魅力的なキャリーというよりも、一般的な前線キャラとして見られがちでした。 

とはいえ、然るべきやり方で正しく落とし込めば、チャンピオンにいつもと違う役割を与えることは、そのチャンピオンの中核となる要素を際立たせ、TFTファンに新しい体験を提供することができ、結果としてはポジティブな影響をゲームに与えられます。イレリアはその最良の例で、通常は近接キャリーまたはタンクですが、今回は彼女の飛刃の舞いを活かして、後衛のダメージディーラーとして活躍しました。    5コストや4コストのチャンピオンは、そのテーマやメカニクスに合う限り、より自由な解釈が可能になると言えるかもしれません。


というわけで、開発チームでは「チャンピオンの役割」に関するフレームワークを作成しました。これにより、プレイヤーが期待するそのチャンピオンらしさや役割に沿った編成を確実に行えるようになります。このフレームワークから逸脱するのは、主にゲーム終盤に登場するチャンピオンになるでしょう。このフレームワークは将来のセットに適用され、すぐには導入されません(セット開発に時間を費やすために妥協しなければならない部分のひとつです)。次のセットでは、攻撃速度に比例してスケールする魔法使いのような、予想外の動きをするユニークなチャンピオンが登場するかもしれないので、ぜひ注目していてください。そして、いつものように、それについての感想もぜひお聞かせください。

高リスク特性

高リスク特性は、どの記事でも取り上げているように感じるほど頻繁に話題に挙がってきました。それほど面白いのですが、デザインを革新し続けるのは非常に難しく、これまでのところ、ほとんどが「体力を犠牲にしてリソースを得る」というバリエーションにとどまっています。リミックス ランブルの「Heartsteel」は、このスタイルの中でユニークなバージョンとして一般的には成功しましたが、最上位のプレイヤーにとっては他の特性と比べて強すぎることがありました。強い特性をプレイするのは確かに楽しいのです。

一方で、「インクボーン フェーブル」の「フォーチュン」は、最上位のプレイレベルではほぼ完璧にバランスが取れていましたし、ダイスロールによって新しくリスクが加わり独特の味が出ていました。しかし問題は、最高レベルでバランスが取れているということはつまり、一般のプレイヤーの99.5%にとっては弱すぎて難しく、結果としてあまり楽しめなかったということです。バランスが取れていたとしても、プレイヤーの体力を70消費して4つの金床を得るのは、過去の高リスク特性と比べると十分にエキサイティングではありませんでした。


ここに課題があります。これらの特性は、エキサイティングであると同時に公平でなければなりませんが、そのバランスを取るのは非常に難しいです。さらに、各セットごとに再設計し、新バージョンを作り出す必要があります。これは大きなデザイン上の挑戦です。次のセット、そしてその後のセットについても、同じ高リスク・高リターンの要素を取り入れることを考えていますが、特性システム以外の方法で試すかもしれません…これらの実験は少しリスクが高いかもしれませんが、最終的には満足のいく結果を得られると信じています。

ヒーローオーグメント

「モンスターアタック!」では、セットのメカニズムとしてヒーローオーグメントが導入され、プレイヤーは毎回ランダムなコストのヒーローオーグメントを選ぶ必要がありました。このメカニズム自体は悪くなかったのですが、毎試合ヒーローオーグメントがあることで、新鮮味が失われてしまいました。さらに、キャリーチャンピオンのヒーローオーグメントは通常、「キャリーをもっと強くする」という効果のオーグメントが多く、あまり興味を引くものではありませんでした。

しかし、このメカニクスから得た学びを最新のセットに適用したところ、大成功を収めました。今回のセットで、プレイヤーはこれらのオーグメントを非常に楽しんでいます。オーグメントが弱い場合でさえも、タンクチャンピオンがユニークなキャリーと化す新しい機会に、プレイヤーは毎回ワクワクしています。例えば、シェンが遠距離から確定ダメージを与えたり、ニーコが広範囲にわたる攻撃を行いながら回復する様子は大いに愉快で、プレイヤーはこれらのオーグメントを選ぶことを楽しんでいます。

ヒーローオーグメントはオーグメントのシステムに良い追加要素となるため、今後の各セットでも継続して導入したいと考えています。しかし、いくつかの重要な学びを次に生かす必要があります。まず、ヒーローオーグメントが強すぎると非常にフラストレーションがたまり、新鮮さが失われてしまいます。例えば、平均順位4.5でヨリックを使いこなすプレイヤーを見るのは見るのは驚きと称賛に値しますが、平均順位3.9のガレンを見るとゲームの残りが憂鬱になります。したがって、これらのバランスを適切に保つことが極めて重要です。

また、楽しみにしていたヒーローオーグメントを選び、意気揚々としていたのに、他のプレイヤーも同じオーグメントを選んでいたと気づいたときほどフラストレーションがたまることはありません。競合が生じて不利に感じるのに、他に切り替える選択肢がないのです。こうした経験をプレイヤーにしてほしくないので、できるだけ起こらないようにする方法を積極的に模索しています。これもまた、綿密なバランス調整が必要です。「競合なしで歴戦のチャンピオンを手に入れたプレイヤーが大きなアドバンテージを持つ」という状況を避けたいからです。しかし、この問題は乗り越えられると考えており、それがより良いゲーム体験を提供するために価値があると信じています。

次のセットでもヒーローオーグメントが登場予定です。「インクボーン フェーブル」と似ていますが(低コストのタンクがキャリーになる形)、開発チームはちゃんと楽しめるようなヒーローオーグメントを作り上げることに成功しました。ユニークなものもありつつ、少なくとも一つはデジャヴを感じさせるものがあります

アーティファクト

今回のセットでは約束通り、新しいアーティファクトを20個リリースしました。これらのアーティファクトをリリースした意図は、通常のアイテムシステムでは実現できない独自の効果をTFTに新しくもたらすことです。結果的に、いくつかの小さな問題(強すぎたタリスマンやバグのあったトレンチコート)を除けば、リリースは成功でした。新しいユニークな盤面が次々に登場し、プレイヤーは新たな夢を見ることができ、今までよりもさらに多様な構成も実現可能になりました。個人的には、ホライゾン フォーカス+レク=サイのリロールがお気に入りで、何度もそのプレイを披露しました。また、フォビドゥン アイドル+タム・ケンチや、枯死の宝石+ティーモ、ウィッツ エンド+バードなども見られましたね。


次のセットでアーティファクトがどのように使われるかを見るのが楽しみです。プレイヤーがそれぞれのチャンピオンに合ったアーティファクトを見極めていくことでしょう。どのチャンピオンが最強の「穢れたヴァンパイア セプター」の使い手になるのでしょうか?アーティファクトはゲームに新たな奥深さを加え、プレイヤーはゲームの理解度が試されることになります。

しかし、プレイヤーがアーティファクトにどれだけアクセスできるかについては、慎重に検討する必要があります。頻繁に提供されすぎると強力な状況を簡単に作り出せてしまいますし(このため「ゴミが宝に」を削除せざるを得ませんでした)、逆に少なすぎるとゲームの一部として学ぶことが難しくなります。時間が経つにつれて、あまり面白くない、またはうまく機能していないアーティファクトを入れ替え、新たな可能性を探ることも考えています。いずれにせよ、アーティファクトは長い目で見ればTFTにとって大きな成果でした!


これまで11本の振り返り記事を執筆しましたが、まだまだやるべきことはたくさんあります!私たちは常に、TFTが皆さんにどのように受け入れられているかを反映し続けており、今回のように開発内部の会話や議論のトピックを共有することで、それを示していきたいと思っています。時間が限られているので今回はここまでですが、次のセットのリリース発表時には素晴らしいものをお届けできると思います。それまではくつろぎながら、リラックスしてお過ごしください!