/Dev TFT:お楽しみパッチ

Mort、Alex、Philipと共に“お楽しみパッチ”について振り返っていきましょう。次回セットのメカニクス(ポータル!?)についての情報も!

作者Rodger “Riot Prism" Caudill
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新セットが登場する直前の最終パッチでは、PBEが注目を集めがちですが、だからといってライブサーバーをデッドサーバーにするつもりはありません。そのセットの最後(またはその1つ前)のパッチは“お楽しみパッチ”として、変化や刺激をもたらす変更を行うのが通例となっていますが、「モンスターアタック!」ではこれまでと少し違う手法を取り入れています。

今回はAlex、Mort、Philipがお楽しみパッチの伝統、その限界、そして「モンスターアタック!」での予定についてお話しします!まずは、本記事の要約から…

要約:

  • お楽しみパッチは2セット目から進化を続けてきましたが、「ドラゴンランド」になってようやく躍進を遂げました。
  • 過去のお楽しみパッチから学んだことを活かし、パッチ13.9で新メカニクス「ノーマル(ポータル付き!?)」を導入します。この新たなバージョンのお楽しみパッチは、セット最後のパッチであるパッチ13.11まで続き、パッチを追うごとにメカニクスの過激さが増していきます。
  • ポータルは次回セットの内容に関連してはいますが、次回セットのメカニクスそのものではありません。
  • 「ノーマル(ポータル付き!?)」はノーマル戦限定のメカニクスとなっており、一定確率でルーンテラのどこかにつながるポータルが開き、追加の戦利品を獲得することができます。
  • パッチ13.9では1つのポータルしか出現しませんが、次回セットのリリースまで、パッチごとにポータル数を増やしていきます。
  • ポータルから得られるアイテムについての詳細は、本記事の最終セクションをご覧ください。


登場から(ほぼ)現在までのお楽しみパッチの歴史

「セット2の『エレメントの目覚め』において、ジョークで実装した変更が始まりだと思います」ゲームプレイ ディレクターのRiot Mortは、彼の居城であるデザイン コントロール ルーム(彼のオフィス)でピザを食べながら語ります。「ラックスへのシンプルな変更でした。そのセットのラックスは、複数のオリジンを持つコスト7のユニットで、スキルの『ファイナルスパーク』は★★★だとダメージが9,999だったんです。そこにジョークで9をもう1つ追加しました」

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99,999ダメージにしたときに、ラックスのスキル名を「イニシャルスパーク」(最初の火花)に変えておくべきでした。この変更がその後に登場していくお楽しみパッチに繋がっていったので。

ただ、お楽しみパッチが本格的に始まったのはセット3の「ギャラクシー」からです。遠い昔、遥か彼方の銀河系では、試合ごとに新たなルールが適用されました。それは…セット名と同じで「ギャラクシー」と呼ばれていました。そのセットでは、パッチごとにギャラクシーをローテーションしていたのですが、開発チームは4つ目のセットである「宿命」の開発に忙しく、新しい銀河の開発に割く時間やリソースがありませんでした。「新たなギャラクシーの開発にはアートのサポートやエンジニアリング、プレイテストなどが必要となります。しかし、『宿命』のローンチが控えていたため、そうしたことにリソースを割く余裕はまるでありませんでした。新たなギャラクシーの制作に必要なエンジニアリングだけでも…」とMortが技術的な話を始めましたが、私の金魚並みの記憶力ではすべてを覚えておくことはできませんでした。

最終的に、開発チームはコミュニティーに人気だった3つのギャラクシー「トレードセクター」、「超高密度」、「宝の矢」のコードを組み合わせて「ビッグバン」ギャラクシーを作り、なんとか新たなギャラクシーのリリースにこぎつけたのです。これは多くのプレイヤーに好評だっただけでなく、既存の3つのギャラクシーの組み合わせだったため、少ないリソースで開発することができました。

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高温・高密度の爆発から宇宙が誕生したように、「ビッグバン」ギャラクシーは“お楽しみパッチ”という新しい概念を誕生させました。

この伝統は現在まで続いており、「宿命」セットの最後には「幸運のランタン」メカニクスが登場しました。これは一定の確率で一度だけ(出ないこともあります)、どこかのステージで幸運のランタンが登場し、全員が戦利品を受け取れるというものでした。このセット最後のパッチ期間中は、全ステージで登場する可能性がありました!これもリソースを抑えた“おいしい”パッチとなりました。

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「レコニング」をプレイしていた方なら、ミッドセットでシャドウアイテムからレディアントアイテムへのドラマチックな変化があったことを覚えているでしょう。では、お楽しみパッチが通常よりも早い、セット終了の2パッチ前にリリースされたことは覚えているでしょうか?「Reckoning Championshipでは、パッチ11.19が使われていたため、トーナメントパッチや、プロが練習を行うライブ環境の競技性に影響を与えることなく、2パッチに渡ってお楽しみコンテンツを提供することができたのです」Mortが言っているように、これら2つのパッチではレディアントアイテムのアーマリーを2つ提供できただけでなく、もうひとつのミッドセット メカニクスである「神々の祝福」というレアドロップ要素も追加することができました。

「ですが、『ギズモ&ガジェット』では…」と言いながら、Mortはランチをどかしました。「かなりハチャメチャなことをやったんです」

「その当時、お楽しみパッチにかけられる時間はほとんどありませんでした。そこで、全プレイヤーに『特性の書』を付与し、あまり活躍していなかった大規模特性をすべて強化することで、その場をしのぐことにしました。するとライブチームの誰かが、次回セットのちょっとしたネタバレとして、ドラゴンのタマゴをプレイヤーに与えるアイデアを出したんです」

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「ギズモ&ガジェット」の最終パッチでは、プレイヤーがドラゴン孵化作業員となり、試合開始時に伝説の宝物龍からタマゴを1個受け取ることになりました。タマゴは大きさとパワーがそれぞれ異なり、影響力が大きいものほど孵化するのに時間がかかるという仕組みでした。ただ、どのタマゴにも少なくとも1つは「特性の書」が含まれていました。「このお楽しみパッチは大成功となりました。メタを大きく変化させるだけでなく、将来のセットでレディアントアイテムの復活を試すことも可能になったからです」RobinsongzのTime Flies(ジリアンリロール)やCandyland Bodyguard(ポッピーリロール)といった、常識外れのチーム構成に対して私がLPを失ったことも、その成功を裏付けています。

「ドラゴンランド」では、お楽しみパッチを2回リリースしてセット終了を迎えたかったのですが、Championshipの開催時期が理由で、宝物龍が2回出現するメカニクスは、セット最後のパッチでのみリリースされることになりました。「これは少し残念な結果となりました。セット最後のパッチがリリースされる頃には、ほとんどのプレイヤーがPBEで新セットをプレイし始めていたのです」Mortは語りながら、残ったピザに手を伸ばしました。「宝物龍は人気だったので、ウルフに代わって宝物龍を2回出現させれば、きっとプレイヤーに喜んでもらえたでしょう」

お楽しみパッチが歩んできた歴史については、これで以上です。ここからは、「モンスターアタック!」で登場するメカニクスについてAlex Coleに語ってもらいましょう。

お楽しみパッチへの変更:ノーマル(ポータル付き!?)

「『モンスターアタック!』では、大胆な変化をもっと早くから導入したいと考えました」Alex “Riot BlueVelvet” Coleは言いながら、90年代の子供にしか分からない飲み方でスムージーをすすりました。AlexはTFTのゲームプレイ プロダクト リードであり、開発のことをよく知る人物です──具体的に言うと、彼はコンセプトの段階から完成までセットの開発を指揮しています。

AlexはMortと協力して、「モンスターアタック!」のお楽しみパッチを3パッチに渡って継続することを提案しました。「これまでのお楽しみパッチは、状況が合えばセット終了の2パッチ前に導入できていました。ですが、『モンスターアタック!』ではChampionshipにパッチ13.10を利用するため、大会が終了するまで競技プレイ環境に影響を与えることができず、お楽しみパッチも最終パッチでしか出せないことになります──でも、競技プレイ環境に影響を与えずにリリースできるなら話は別です」と、Alexはマッドサイエンティストのような笑顔を浮かべ叫びました。

「ドラゴンのタマゴと幸運の祝福を参考に、かなり早い段階でおもしろい要素をリリースするつもりです。ただし、これはノーマル限定です。これなら、競技環境に影響を与えることなく、より早い段階で(より大胆な)お楽しみパッチをリリースできます」AlexはMortと一緒に考えた悪企みについて、満足気に説明します。

「ノーマル(ポータル付き!?)」は、既存のノーマルキューに手を加えたもので、次回セットの新メカニクス(とネタバレ)を楽しむことができます。これはパッチ13.9から始まり、「モンスターアタック!」が終了するまで3パッチに渡って続きます。「ノーマル(ポータル付き!?)」は最初こそ少しだけカオスなメカニクスとして始まりますが、パッチごとにその過激さが増していきます。このメカニクスはパッチ13.11で終了となりますが、内容的には「幸運の祝福」というよりも、「軽量版の幸運の祝福」といった感じになるでしょう。

なお、「ノーマル(ポータル付き!?)」は単に驚くようなチーム構成を可能にするためのものではありません──次回セットに関するちょっとしたネタバレにもなっています。どんな内容になるのかは…皆さんのご想像にお任せします。

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このお楽しみパッチの期間とリリース時期についてですが…2011年リリースの某ゲームなら、私はミレニアル世代よりも素早くXボタンを押して「疑う」を実行しているでしょう(つまり、「本当にそのスケジュールでいいのか?」ということです)。現行セットの終盤であれば、すべての時間とエネルギーを新セットの開発に注ぐべきだということは、AlexもMortも理解しています。ですが、現在のセットをライブサーバーで最後まで楽しんでもらうことは、チーム全員の願いです。そこで、これまで以上に長く、インパクトのあるお楽しみパッチにするため、より多くの労力を注ぐことにしました。

これがどんな体験になるのかについては、ライブチームの新人であるPhilipに話してもらいましょう。

「ノーマル(ポータル付き!?)」のポータル

このパッチの開発はMortとAlexが行っていますが、実装を行うのはライブチームです。そこで登場するのが、ライブチームでゲームデザイナーを務めるPhilip “SagePhilip” Lamkinです。彼が“飛び出すポータル”のノーマル戦への実装を担当することになります。Philipについて、最後にもうひとつだけ。ライアットのデザイナーには不思議なほどフェンシング経験者が多いのですが、彼もその一人です──剣とかフィオラとか、そういうのですね。私は詳しく知りませんが。

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Philipはビデオ通話でポータルの実装について語ってくれました。ビデオ通話を使ったのは、「剣を振り回している人と直接会うのが怖かった」という理由もありますが、当時、私がオフィスから離れていたためです。「ポータルはパッチ13.9より、ノーマル限定で実装されます。ステージ2-6になると一定確率でポータルが出現し、そのポータルが繋がっている地域に応じて、異なる報酬を受け取ることが可能です。もちろん、それだけではありません。次回セットのリリースが近づくにつれて、コンバージェンス全体でこのメカニクスの過激さが増していき、より多くのポータルが開くようになります」とPhilipは説明しました。その後で彼が話してくれた内容は、魔法を使って以下の表にまとめました。


ステージ2-6

ステージ3-3

ステージ4-3

13.9

デマーシア、ピルトーヴァー、ターゴン、ポータルなし

ポータルなし

ポータルなし

13.10

デマーシア(30%)、ピルトーヴァー(30%)、ターゴン(30%)、ポータルなし(10%)

ポータルなし

フレヨルド(30%)、ヴォイド(30%)、シュリーマ(30%)、ポータルなし(10%)

13.11

デマーシア、ピルトーヴァー、ターゴン

アイオニア、シャドウアイル、ノクサス

フレヨルド、ヴォイド、シュリーマ

*確率が明記されていない場合、それらが均等な確率で発生します。たとえば、パッチ13.9のステージ2-6では、「デマーシア」、「ピルトーヴァー」、「ターゴン」、「ポータルなし」がそれぞれ25%の確率で発生します。

となると、次に皆さんが知りたいのは…どのような魔法を使ったら、勝手に表を作成してくれるのか、ですよね?…えっ、それはどうでもいい?あぁ、それぞれのポータルから何を入手できるかですか?ラッキーですね!Philipがリストをまとめてくれました。

  • デマーシア ポータル:素材アイテムx2
  • ピルトーヴァー ポータル:小型チャンピオン複製器、アイテム除去装置、再合成装置、イカサマダイス
  • ターゴン ポータル:タクティシャンの王冠
  • アイオニア ポータル:ダミー、15ゴールド
  • シャドウアイル ポータル:チャンピオン複製器、コスト4のチャンピオンx2
  • ノクサス ポータル:完成アイテムの金床x2
  • フレヨルド ポータル:オーンアイテムの金床
  • ヴォイド ポータル:盗賊のグローブ
  • シュリーマ ポータル:特性の書、5ゴールド

*入手できるアイテムは、リリース前に変更される可能性があります!

ポータルごとにドロップする戦利品は固定されていて、他のメカニクスと同じように、各ポータルからは全プレイヤーが同じ内容の戦利品を受け取ります。ですので、あなたが「デマーシア ポータル」だった場合は、他のプレイヤーにも「デマーシア ポータル」が出現します。なお、入手できる素材アイテムx2の内容は異なるものとなります。

「このメカニクスの実装で特に楽しかったのは、ポータルごとに用意されているテーマに沿った演出です」とPhilipは言います。「ビジュアルエフェクト アーティストのIsaac Woodと協力し、次回セットに向けて開発していた技術を利用して、ポータルのアニメーションを制作しました」Philipはポータルの演出についても詳しく説明してくれましたが、それは皆さんの目で確かめてもらった方が良いでしょう。とりあえず、ポータルを見てみましょう!

最後にもうひとつだけ──この記事でご紹介した以外にも、開発が進められているものがあります!これはパッチ13.11で(ランク戦を含む)全モードに登場する予定です。詳しい内容については続報をお待ちください。



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