/Dev チームファイト タクティクス:ギズモ&ガジェットから学んだ教訓

「ギズモ&ガジェット」から学んだ教訓と、新セット以降での教訓の活かし方についてお話しします!

作者Riot_Mort
  • クリップボードにコピーされました

いやはや、あっという間でしたね。「ギズモ&ガジェット」ももうすぐ終わり。つまり…恒例の「教訓」記事の季節が巡ってきました!今回もセットのリリース前に交わした約束の達成度を評価し、新セット「ドラゴンランド」で改善していく点をまとめていきます。

要約

今回も具体的なゲームデザイン要素を細かく掘り下げているため、記事はかなりの長文となっています。そこで概要だけ見たい!という方のために、以下に要約版を用意しました。忙しい方はこちらをご覧ください。

振り返り

  • セット固有要素の複雑さ:「シャドウ/レディアントアイテム」はセット固有要素としてはとても複雑でしたが、今回の「オーグメント」は明確な強さと戦略的判断の幅、そしてゲーム展開のバリエーションを増やすもので非常に好評でした。本当に好評だったので、この要素は「ドラゴンランド」でも引き続き採用していきます。
  • 有力構成への極端なナーフ:「レコニング」では、それまで強力だった構成がまったく使い物にならなくなるほどナーフされたことが何度もありました。「ギズモ&ガジェット」ではバランス調整を軽めに実施する新方針に移行したことで、発生頻度を大幅に低減できたと考えています。
  • ユニークな特性:「レコニング」の特性効果はステータス上昇タイプが多く、どのステータスが上昇するかがそのまま特性の差になっていました。一方、「ギズモ&ガジェット」の特性効果はこれまでで最も個性の強いものになったと考えています。ただし「ネオンナイト」では、「ミッドセットでは革新的な特性を追加し続けるべき」という教訓も得ています。
  • ティア5チャンピオンのワクワク感:キャリー系と補助系の比率を5:3とする「宿命」の方針は「ギズモ&ガジェット」でも機能したように思いますが、今後は最終盤構成にティア5キャリーを組み込みやすくしていくつもりです。
  • ランク戦システム: 前回の教訓記事で約束したとおり、ランク戦におけるティア降格を廃止しました。こちらは(ほぼ)全面的に好評だったと認識しています。なお、獲得LPを調整してランク上げをスムーズにするという目標はまだ達成していませんが、現時点でもひとまず「勝利」扱いとしています。
  • ハイパーロール:「ドラゴンランド」でも、ほぼ全ての地域で継続予定ですが、おそらく将来的には「ハイパーロール」の改良版モードと置き換わることになるでしょう。そのモードは私たちが目指す「ハイパーロール」により近いものとなる予定です。

今後の取り組み

  • バリエーションと新規性:「ギズモ&ガジェット」ではオーグメントのおかげで選択肢の幅と組み合わせの妙が大きく改善されました。一方で、過去セットの復刻ユニット/特性は反対の結果となりした。このため今後は新規性と多様性を高めていきます。その一環として、今後は復刻ユニット/特性を減らします。
  • アイテムシステムの不満点解消:現行アイテムシステムで特にフラストレーションが溜まるのが、ステージ4-7のPvE(ラプター)ラウンドで獲得した素材アイテムがチーム構成上使い道がない時です。この点は先延ばしにすることなく、次のセットで直接的な修正を実施します。
  • へらと紋章:「ギズモ&ガジェット」における紋章は、過去セットの時ほどワクワク感を生み出せませんでした。この教訓を活かし、今後は組み合わせ次第で「大化けする」紋章を複数個提供できるよう注力していきます。
  • オーグメント:本セットでもオーグメントの楽しさはしっかり表現できたと思いますが、今後は更に進化を遂げていきます。新セットでは今回の教訓をしっかりと活かし、バランス調整、出現ルール、出現オーグメントの一貫性を飛躍的に改善していくので楽しみにしていてください!

振り返り

前セットの教訓記事で約束した内容をどこまで達成できたのか、さっそく見ていきましょう。

セット固有要素の複雑さ:

この点は良いスタートを切れたと言って差し支えないでしょう。シャドウ/レディアントアイテムからは「セット固有要素に複層的な複雑さを持たせてはならない」という大きな教訓を得ました。そしてヘクステックオーグメントではその教訓をしっかりと活かせたと評価しています。仕組みとしては「パワーアップの選択肢3つから1つ選ぶ」というシンプルかつ明確なものですが、戦略的奥深さ、バリエーションの幅、ワクワク感はこれまでのセット固有要素の中でも随一のものでした。本当に大きな成功だったので、「ドラゴンランド」でも引き続き採用することを決めたほどです。しかしこの決断は、開発チームに新たな課題を突きつけることになりました。既にTFTにはアイテム、特性、チャンピオン、ドラフトラウンド(通称回転寿司)というゲームの中心的要素があり、そこにオーグメントを追加すれば、他のゲーム要素を追加する余地がなくなってしまうのです。この点を放置すれば、最終的にはシステムが増えすぎて、新規・復帰プレイヤーにとって厳しすぎるゲームになってしまうでしょう。このため、オーグメントに加えて別のユニークなゲーム要素を追加しつつも、総合的なゲーム体験をしっかりと観察し続け、要素過多にならないよう気をつけていきます。セットには毎回新規性のある要素が欠かせません。だからこそゲーム要素を新たに追加できない状態は避けねばなりません。

有力構成への極端なナーフ:

05022022_LookingBackatGizmosGadgetsArticle_Kat_OPT.jpg

「レコニング」では、有力構成への極端なナーフ(それまで強力だった構成がまったく使い物にならなくなるほどのナーフ)を実施したパッチが何度もありました。その結果、メタは一気に変化し、プレイヤーの皆さんがそれまで習熟してきたチーム構成が完全に使い物にならなくなりました。「ギズモ&ガジェット」ではそういったナーフの発生率をかなり抑えられたと考えていますが、もちろんゲームバランスが完璧だったとわけではありません。しかし、その大部分は想定していた内容でもありました。オーグメントシステムの導入によりゲームが複雑になったこと、コロッサスやミュータント(実質的には7つの特性でした)、ヨードルといったTFT史上屈指の個性的な特性を追加していたことから、ある程度のバランス問題は想定していたのです。実際にカタリナ、カイ=サ、イレリア、ワーウィックなどが圧倒的強さを示した「荒れた」パッチが何度かありましたが、「ほとんどの場合」バランス調整は軽めに留めました。ここで「ほとんどの場合」と書いたのは、パッチ12.4のシンジケートなど過剰なバフ/ナーフが何度かあったためです。とはいえ総合的に見れば、バランス調整を軽めに実施する方針には明確な利点がありました。せっかく慣れ親しんだ構成が新パッチでは使い物にならない!という状況を予防できましたから。

一方で「軽め」のバランス調整という方針は、プレイヤーの予想・期待とズレることもありました。プレイヤーの期待する変更を「軽めの調整」で実現できないという状況が頻繁に発生してしまったのです。たとえば、パッチノートにイレリアへのナーフが記載されていたら、多くのプレイヤーは「イレリア構成が圧倒的ではなくなる」ことを予想するでしょう。しかし「軽めの調整」のためにナーフが不十分で、イレリアはその後も勝ち続けることとなり、プレイヤーの予想は裏切られる、といった具合です。バランス調整方針はそれぞれに明確な長所と短所があるものですが、有力構成への極端なナーフを予防できる「軽めの調整」というアプローチはTFTの総合的な楽しさを考慮すれば最善手だと考えており、「ドラゴンランド」でも同じ方針を取っていきます。

ユニークな特性:

05022022_LookingBackatGizmosGadgetsArticle_Rek-sai-OPT.jpg

「レコニング」には個性的な愉快で特性(キャバリエ、悪鬼、アボミネーション)もいくつかありましたが、特性の大半は何らかのステータスを上昇させるもの(ドラゴンスレイヤー、忘れ去られし者、救われし者)でした。そして大変多くのフィードバックが寄せられたことを受け、本セットではTFT史上屈指の独自性とゲーム体験の変化をもたらす特性を用意しようと試み…強力(かつワイルドな)特性の数々を作り出すことができました。具体的には、2スロットを占有する巨大なコロッサス、さまざまなメカを召喚するイノベーター、試合ごとに効果が変化するミュータント、連敗戦略に新風を吹き込んだマーセナリー、アイテムの活用方法を変えるスクラップ、毎回位置が変化するスポットライトを活用してキャリーに最大3アイテム相当の追加強化を付与するソーシャライト、そして仲間を増やし続けるヨードルですね。また、ステータス上昇を主な特徴とする特性の中でも、チャレンジャーにはキル時にリセットされるダッシュと攻撃速度増加を付与することで独自性を出しました。これは大きな改善だったと評価しています。ただステータス上昇系ステータスはある程度必要で、特にクラスは効果の分かりやすいものが多く、新しいセットを遊び始める助けになっています。このため、オリジンもすべてが独創的・個性的になるわけではありません。

一方で、ミッドセットと特性の扱い方についてはミスがあったと考えています。ミッドセットの最優先目標は、直前の3ヶ月間セットを遊び続け、新しい要素を待ち望んでいるプレイヤーの皆さんの期待に応えることです。ストライカーは本セットで新規追加されたクラスですが、その効果は開発期間を(効果的に)短縮することを念頭において決定されました。しかし「ギズモ&ガジェット」のベテランプレイヤーは既にセットをよく理解しており、攻撃力を上げるだけの特性は求められておらず、結果として他の特性と比較して味気ないだけの特性となってしまいました。これを教訓とし、今後はセットリリース時には標準的な特性と新規性の高い特性をバランスよく揃え、ミッドセットでは新規性を強く意識していきます。この方針であれば、それまで遊び込んできたプレイヤーの皆さんがゲーム知識をさらに深めていくことができると考えています。

ティア5チャンピオンのワクワク感:

05022022_LookingBackatGizmosGadgetsArticle_Silco_art.JPG

前回の記事では、「宿命」で採用したティア5の配分(個性的なキャリー系5体と個性的な補助系3体)がとてもうまく機能したという話をしました。「ギズモ&ガジェット」でも同じ配分で、アカリ、ジェイス、ジンクス、カイ=サ、ビクターの5体をキャリー、ガリオ、タム・ケンチ、ユーミの3体を補助系とし、「ネオンナイト」でも同じ比率としました。

この比率は今回もうまく機能したため、今後も同様とするつもりです。もちろんすべてのティア5チャンピオンが最適な状態だったとは言えません。ビクターのスキルは「ギャラクシー」のガングプランクのスキルよりも威力を体感しづらかったですし、アカリは活躍するためのアイテムが大きく固定されていました。そして(バランスが取れている時の)カイ=サは「レコニング」のケイルと同様に圧勝か完全不発の両極端になるという問題を抱えていました。その後のミッドセットではユーミをシルコ、アカリをゼリと置き換えて配分を維持しています。というわけで、比率は今後もキャリー系5体、補助系3体で継続していく予定です。また、ティア5キャリーチャンピオンについてはチーム構成に関係なく起用できるような強さを持たせたいと考えています。この点において、アカリがシンジケート構成でしか使えなかったのは開発チームのミスでした。「ドラゴンランド」では「宿命」のヨネやケインのように、特性とは関係なく活躍できるキャリーチャンピオンを増やすつもりですのでご期待ください。

ランク戦システム:

前回の教訓記事ではランクの降格を防止するしくみを導入すると発表しました。新たな仕組みでは、たとえばダイヤモンドに到達した場合、それ以降はプラチナに降格しません。これは大多数のプレイヤーにとって非常に好評でした。ようやく到達したランクから降格する恐怖が消えたということですから。「これまではプラチナに到達した後は降格の恐怖からランク戦自体をプレイしなくなっていたけれど、今セットは続けられた/ダイヤモンドまで到達できた」という話も多数届いています。そういった方がTFTを一層楽しめるようになったことは本当に喜ばしく思います。しかしそんな施策にも欠点は存在していました。降格がなくなったことにより内部MMR(マッチメイキングのレーティング)と実際のランク(アイアン、ブロンズ、シルバーなど)が大きく乖離してしまうケースが生じたのです。そのようなケースにおいてはLPの増減量が偏り、1位になっても+30 LP、8位になれば-80 LPのような極端な状況になっていました。これではランクを上げるのは絶望的に感じられてしまいます。自分にはどうしようもできない要因によりランクを上げられない状況はフラストレーションが溜まります。ですから、本件については修正を進めていきます。解決までには時間が必要となるため「ドラゴンランド」のリリースには間に合いませんが、しっかりと調査を進めていき、そのようなケースを予防するしくみを作り、上を目指せるランク体験をお届けできるよう再設計を進めていきます。具体的な施策については今後の続報をお待ちください。

ハイパーロール:

ハイパーロールを実施するのは「ギズモ&ガジェット」が2セット目でしたが、このモードを気に入ってくれたプレイヤーは本モードを継続的にプレイしてくれました。プレッシャーが少ないこと、短時間でプレイできること、そして終盤戦まで安定して進められることが多くのプレイヤーに支持されたようです。また本セットでは、ゴールドの獲得タイミングやラウンドの長さなど、ゲームの流れにもいくつかの改善を実施しました。なお、ハイパーロールは「ドラゴンランド」でもハイパーロールはほぼ全ての地域で継続されますが、ここでは長期的な計画についても触れておきましょう。まず、現在のハイパーロールは低ストレス・短時間で遊べるという目標を完全には達成できていません。むしろ短時間でさまざまなことをしなくてはならず、通常よりもストレスが強くなることもあります。このため、今後は時間をかけて当初の目標を達成できる新モードを試作していき、目処がついたところでハイパーロールと入れ替えることを検討しています。入れ替えはおそらく「ドラゴンランド」の期間中になりますが、これは充分なクオリティーに達した時にのみ行います。熱心なハイパーロールファンの方にとっては残念なニュースだと思いますが、キューの種類が多くなりすぎれば各キューのプレイ人口が減り、結果的に全モードのゲーム体験が損なわれてしまいますので、ご理解いただければと思います。新モードについては今後も継続的に情報を公開していきますのでどうぞお楽しみに。

今後の取り組み

バリエーションと新規性

05022022_LookingBackatGizmosGadgetsArticle_Draven-OPT.jpg

「ギズモ&ガジェット」で得た最大の教訓は、バリエーションと新規性の重要性でした。これはそのまま成功要因でもあると考えます。新セットであれ、次の試合であれ、新しく試す構成であれ、プレイヤーの皆さんが求めているのはいつだって新しい体験です。ガリオの★3が完成したらどんなふうだろう?「レベルアップ!」と「ラグジュアリーショッピング」を組み合わせたら?1試合中に「ナイフ エッジ」I / II / IIIをすべて揃えたら?…と。長期的視点から見れば、ユニークなゲーム体験を生み出す懐の大きさはゲームの良さに直結しています。開発チームはこれを各セットの最優先事項と考えるようになりました。しかし、これは今後のセットの方向性に大きな影響を与えるものでもあります。

ユニットと特性を例に挙げてみましょう。これまでティア5チャンピオンを復刻することはほぼありませんでしたが、ティア4チャンピオンはかなりの頻度で復刻してきました。しかし、ドレイヴンほどの「楽しい」チャンピオンであっても、さらにVIPボーナスで無限射程になる新要素が追加されていても、新規性という点では不十分です。特に彼の場合は直前のセットで登場していましたから。多くのプレイヤーは直近のセットで約半年(あるいはそれに近い期間)ドレイヴンをプレイしてきており、今回改めてドレイヴンを見てもワクワク感が湧いてこないのです。そこで今後はティア34チャンピオンの復刻数を減らします。また、最近のセットで登場していたチャンピオンについては特に避けるようにします。0体にはなりませんが、これまでよりも少なくします。

一方システム面では、バリエーションの多さがどれほどゲームを豊かにしうるのかを改めて実感することができました。顕著だったのはオーグメントですが、ミュータントの各種効果やソーシャライトのスポットライト出現位置などの細かな点も、試合の印象を毎回違うものにしていたのではないでしょうか。こういった要素は組み合せ数学(編集者によると、組み合わせ数を扱う数学の分野)的な側面からゲームを豊かにするため、ぜひ今後も取り入れていきたいと考えています。というわけで、今後はより多様なゲーム展開を生み出すため、ゲーム展開に細かなバリエーションを増やすシステムを増やしていきます。もちろん新システム追加の際には細心の注意を払います。過去にドラフトラウンドのバリエーション関連で色々な教訓を得ていますから…(一時期はドラフトラウンドに完成アイテムが出現していましたが、これは構成のコアアイテムを自分で選ぶという自発的行動を妨げてしまい、ゲーム体験の質を低下させていました)。

アイテムシステムの不満点解消

アイテムシステムはTFTの中でも特に入り組んだ構造のシステムであり、長い歴史があります。このアイテムシステムには多数の問題が存在していますが、現在は「アイテムの分配」の修正を最優先事項としています。序盤にロッドと涙が手に入ったからアルカニストを集めて魔力系チームを構築し(適切な判断です)、途中までは順調だったのに最後のPvEラウンド(ラプター)でB.F.ソード2本、ネガトロン クローク、スパーリング グローブがドロップした…なんていう展開は多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。本当にイライラしますよね。あまりの怒りに開発者の名前(KentやWittrock)を叫びたくなります(?)。ブラッドサースターとインフィニティ エッジを活かす構成へ切り替えるには遅すぎますし、クイックシルバーを作ったとしても余ったデスブレードに絶望したくなる。これが重要な問題であること、そして自分が関与できないところで負けが決まってしまうケースが多々生じているということは開発チームも同意見です。そこで―まだ詳細はお話しできませんが―ステージ4-7PvEラウンドに大規模な変更を実施することにしました。これが実装されれば最後のアイテム入手機会のあり方は大きく変わり、ゲームシステムに「裏切られて」負けることはなくなるでしょう。そうなれば、怒りではなく喜びのあまり開発者の名前を叫ぶこともあるかもしれませんね!皆さんが「開発チームに愛されてるな」と感じてもらえるよう全力で開発を進めていきますので、どうかもうしばらくお待ちください!

へらと紋章

05022022_LookingBackatGizmosGadgetsArticle_Ahri.jpg

過去セットにおいて、一部の紋章はTFT史上屈指の「(良くも悪くも)記憶に強く残る」構成を生み出してきました。「エレメントの目覚め」のブレードマスター ノクターン(通称ブレンダー)、「ギャラクシー」のプロテクター オレリオン・ソル、「宿命」のメイジ スウェインなどがその顕著な例でしょう。こういった強烈なコンビネーションは、発見されると誰もがワクワクしながら試していました。いずれもクラフト不可の紋章が実装される前のことです。しかし「レコニング」と「ギズモ&ガジェット」では、残念ながらこのワクワク感を生み出すことができませんでした。個性的な紋章(ツインショット、ヨードル)の実装を見送ったこともさらに状況を悪化させたと思います。もちろんミュータント(シナプシス ウェブ)アーリなどの例外もありましたが、総合的に見ればへらの特別感は薄れ、ドラフトラウンドでもへらが余るような状況が生じていました。へらは特別なアイテムであるという設計意図から完全に外れた状態です。このため今後は、一部の紋章が「大化け」するコンビネーションを生み出さないように設計するのではなく、むしろ積極的に試行錯誤の余地を作っていきます!ただしブルーザーの紋章のようなアイテムもあるため、すべての紋章にそのような使い道が用意されるというわけではない点はご了承ください。「ドラゴンランド」では、へらがドロップした時にため息をつく/2個目のへらが入手できるよう祈るのではなく、おおっ!と思ってもらえる状態を目指していきます。

オーグメント

05022022_LookingBackatGizmosGadgetsArticle_Key-art-phase-two-OPT.jpg

今回の締めはやっぱりオーグメントです。オーグメントだけでも余裕で記事が一本書けてしまいますが、ここではできるだけ端的にまとめます。オーグメントはTFTのバリエーションを広げ、ゲームプレイに深みを与える要素として大変うまく機能しました。TFTの恒久的要素とするポテンシャルがあると私たちに確信させるほどに。「ギズモ&ガジェット」のバージョンは初の試みながらここまでの成果を出してくれたので、今後はこれをベースと捉え、模索・改善を進めていけると考えています。このため現在はオーグメントシステムに関する重要な疑問たちを自問しているところです。その疑問とは、具体的には以下のようなものです。

  • オーグメントの選択肢は本当に3つで良いのか?
  • 出現タイミングはステージ1-4、3-5、4-6で適切なのか?
  • 各オーグメントの影響度は適切か?
  • 分配ルールは適切か?
  • 最悪のケースを回避するためのシステムを重ねる必要はあるか?
  • 一部のオーグメントタイプはゲームにとって悪影響か?
  • まだ手を付けていないオーグメントの新アイデアにはどんなものがあるか?

今はシステムを改善する余地がたくさんあることに、チーム一同ワクワクしています。直近では「引いてしまったから仕方ない」感覚を軽減した公平感のある状態を目指しており、現在は各種オーグメントの影響力とオーグメント間のバランス調整に注力しています。たとえば「~の心」系オーグメントは当初シルバーティアに統一するという原則に基づいてリリースしましたが、後にブルーザーの心とイノベーターの心では価値が異なることが明確になり、原則を曲げることになりました。また、狙撃地点と準備金はそれぞれ対応する特性に個性的な効果を付与するオーグメントですが、一方はシルバー、他方はゴールドとなっています。私たちが現在「ドラゴンランド」に向けて改善を進めているのが、まさにこういったオーグメントたちです。この他にもお話ししたいことはたくさんありますが、ひとまず状況をまとめておくと…今後はオーグメントのバランス調整、有効性が低い選択肢の出現防止、そして出現オーグメントの一貫性改善につながる新しい方法の導入などを実施していきます。おそらく「ドラゴンランド」のセット期間中にすべてを実施することはできないでしょう。しかし開発チームは、オーグメントシステムにはそれだけの労力をかけるポテンシャルがあると確信しています。というわけで、オーグメントへのフィードバックを引き続きお待ちしています!

これで今回は以上です。TFTをプレイしてくれる皆さん、フィードバックを寄せてくださる皆さん、本当に感謝しています。皆さんが何を楽しんでいるのかを知ることはTFTを一層良いゲームにしていく大きな糧となっています。新セットでこれらの教訓をどう活かしたのか、皆さんにお披露目できる日をチーム一同楽しみにしています。それではまた!楽しくいきましょう!



  • クリップボードにコピーされました

関連記事