/Dev チームファイト タクティクス:モンスターアタック!から学んだ教訓

「モンスターアタック!」から学んだ教訓と、新セット以降での教訓の活かし方についてお話しします!

「モンスターアタック!」も残り1ヶ月。そこで本記事ではスパチュロポリスを救う戦いを小休止して、今セットで改善を約束していた点と新セットで改善を目指す点を見ていきます。

要約

本稿ではゲームデザインの思想にまで掘り下げていくため、今回も例によって長文です。そこで忙しいアナタのために要約版を以下に用意しました。

振り返り:前回の教訓記事で設定した目標の直接的な達成度の振り返りです。

  • チーム構成のバリエーション:「ドラゴンランド」で得た最大の教訓は、「チーム構成の可能性を減らすことは常に悪いことである」というものでした。今セットの特性を開発する時にはこれを肝に銘じ、試合に合わせて毎回工夫できるチーム構成のバリエーションを目指しました。
  • ドラゴン:2スロットを専有し、高価で、オリジン特性3体分としてカウントされるドラゴンは構成のバリエーション/柔軟性の大きな制約となっていました。このため今セットでは、ドラゴンのようなユニットを再登場させず、チーム構成のバリエーションと柔軟性を幅広く維持することに努めました。なお2スロットユニットは、開発チームとして納得のいく実装が見つらない限り、再登場させる予定はありません。
  • 想定されるチャンピオンの強さ:TFTにはある種の原則があり、それは全プレイヤーにとって当たり前のものとなっています。「★2同士を比較するとき、強いのはコストの高いユニットであるべき」もそんな原則のひとつでした。もちろん、「モンスターアタック!」ではスーパーユーミ構成、「グリッチド アウト!」ではカイ=サリロール構成など、この原則に沿わない構成も存在しましたが、「ドラゴンランド」と比較すれば大きく進歩したと考えています。今後もプレイヤーの想定する強さが実際のゲームバランスと合致するよう意識し続けていきます。
  • 序盤のエコノミーとリスク&リターン:「モンスターアタック!」のエコノミー特性であるアンダーグラウンドを設計する際には、報酬の出し方を小出しではなくキャッシュアウト型(報酬が一度に払い戻されるもの)としました。今後もエコノミー特性はキャッシュアウト型とし、小出し報酬はオーグメントで使っていきます。小出し報酬も適切な設計ならばプレイを楽しくしてくれる要素ですから。
  • バグとバランス調整:「ドラゴンランド」は色々な意味で苛烈なセットでした。メイン/ミッドセットはどちらもリリース時に許容できない数のバグがあり、さらにいくつかのゲームバランス問題は最後まで解決されませんでした。ゲームアナリシスチームが参加したことで今回の「モンスターアタック!」のリリースも大幅にスムーズになりましたが、新しいセットモデルに移行した後(2セット後)はより一層完成度を上げていくのでご期待ください。
  • オーグメント:一部のオーグメントには終始悩まされ続けましたが、オーグメントがゲームにもたらしたバリエーションとワクワク感については極めて肯定的に捉えています。新セットではオーグメントシステムをひとつ上のレベルへ引き上げられるよう努めていきます。


今後の取り組み:次のセットで改善を目指す目標項目です。

  • あれから約4年:もうすぐ4歳を迎えるTFT。コアシステムの成熟度もかなり上がってきました。しかしその一方、今回の「モンスターアタック!」ではゲームの改善に対する私たちの方針が少し変化しました。実は最近、QoL(利便性)向上を意図した変更/改善(パッチ13.5のアイテム出現仕様など)を、節目となるタイミングを待たずに随時リリースしていくようにしているのです。この種の変更/改善は次のセットでも積極的に実施していくつもりです。
  • 後衛強襲能力 - ハッカー&アサシン:たまにはアサシン不在のセットも良いものです。しかし代役を務めたハッカーは私たちにひとつ教えてくれました。後衛強襲能力は、「キャリーを一瞬で落とし切れる」点がとりわけ好ましくないのだと。これを踏まえ今後は、後衛キャリーを一瞬で排除する難易度を大幅に上げるようにしていきます。
  • 脅威 - 超柔軟なチャンピオンたち:脅威は「モンスターアタック!」屈指の大成功ポイントだったと言って良いでしょう。戦局に合わせてどんな構成にも組み込めるチャンピオンというコンセプトは非常に有効だと今回で実証されたので、次のセットでも脅威に似たチャンピオンを少なくとも1体登場させる予定です。
  • オーグメント - 特性+1今セットでは特性カウントを+1するオーグメントのうち、多人数・強力な上位ティアの発動を可能にするものについて苦労することとなりました。特性の書やオーグメントなど特性カウントを増やす要素が増えてきたため、今後も特性の上位ティアボーナス発動につながるオーグメントには細心の注意を払い、必要に応じて無効化・削除も実施するようにしていきます。
  • オーグメント - コンテンツの刷新:オーグメントをTFTの常設要素にすることには何の問題もありませんが、一部のオーグメントに新鮮味がなくなっていることも確かです。このため、次のセットではオーグメントの大多数を刷新する予定です。
  • ヒーローオーグメント:これは大きなトピックです。ヒーローオーグメントからは面白いヒーローオーグメントの条件や、プレイヤーがどこまで制御できるべきか(リロール)など、実に多くの学びが得られました。

振り返り

まずは前回の教訓記事を振り返り、評価してみます。

チーム構成のバリエーション:

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「ドラゴンランド」から得た主要な教訓のひとつに「多様なメタの重要性」がありました。多数の構成が活躍でき、試合が毎回違うプレイ感になる、そんなメタです。この点において、「モンスターアタック!」は大きな一歩を踏み出せたと思います。

イージス、ディフェンダー、OXフォース(前衛)、スターガーディアン、そして脅威などは、さまざまなチーム構成に補佐的な特性(英語圏ではスプラッシュ特性とも呼ばれます)として組み込むことができました。特に脅威は過去セットのどんな特性よりも、試合のあらゆる局面でチーム構成の幅を広げてくれたと言えるでしょう。脅威ユニットたちはアイテムホルダー役、ユーティリティー補強、エコノミー強化、あるいは圧倒的な火力担当として活用されました。

また、チーム構成の多様性を考慮した特性構造以外でも、ツイステッド・フェイトのように特性なしで活躍できるチャンピオンも登場しました。この点はジャンナも抜群で、スペルスリンガー特性を発動させていない場合でも予報士の特性を活かして様々なチーム構成に組み込まれていました。

そして最後は──これは後で改めて取り上げますが── 一部のヒーローオーグメントが前代未聞のチーム構成を可能にした点です。これは同一特性の多人数構成や限られたチーム構成ばかりだったドラゴンランドとは真逆だったと言えるでしょう。このように「モンスターアタック!」では多様なチーム構成が活躍できていたため、今後もゲーム要/特性構造を設計する際には序盤~最終盤のいずれの段階でも多様なチーム構成を狙えることを重視していきます。

ドラゴン:

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今セットでは2スロットユニットの採用を見送りましたが、これは結果的に良かったと考えています。ドラゴンランドでは「チームにドラゴンは1体のみ」という原則が存在したこともあり、ドラゴン特性はチーム構成の幅を最後まで大きく制限していました。また、ドラゴンを好きなだけ場に出せる状態であっても、2スロットを占有するがゆえに組み合わせの幅は狭められていました。

さらに、ドラゴンにはコストの問題もありました。ドラゴンたちは最終盤戦も戦える最高価格帯のユニットだったため、ドラゴンの群れがゲーム最強の盤面になってしまったのです。「最も高価なユニットが最も強い」というのはゲームプレイ面でも、プレイヤーが期待するチャンピオンの強さとしても道理が通るのですが、しかし最終盤戦の構成は多様性のないつまらないものになっていました。このような理由から、2スロットユニットは開発チームとして納得のいく実装が見つらない限り、再登場させる予定はありません

想定されるチャンピオンの強さ:

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プレイヤーが想定するチャンピオンの強さとは、ユニットの強さに上下関係を定める暗黙のルール(例:4コスト★2チャンピオンは、3コスト★2チャンピオンよりも強い)の適用結果に他なりません。この点において、「モンスターアタック!」は総合的に見れば目標を達成できたと考えていますが、それでもセット当初のジャックスや「グリッチド アウト!」のカイ=サ、ルブランなどいくつかの例外はありました。

そして忘れてはならないのがユーミ構成です。キャリー系ヒーローオーグメントとそれを最大化するチーム構成が揃った時のユーミは、2コストチャンピオンのあるべき強さをはるかに越えていました。しかし、このユーミ構成は興味深いものでもありました。確かにユーミは強力すぎたのですが、その構成はチーム全体が彼女の強みを最大化する構造になっていたのです。スーパーがダメージを増幅し、マスコットが不倒の前衛を作り出す(★レベルの高いチャンピオンほど体力総量が多くなるため、マスコットの最大体力割合回復と相性抜群でした)。2コストのユニット1体にチーム構成のすべてを注ぎ込み、4コスト並みの強さを発揮する…とはいえそれは、プレイヤーが想定するチャンピオンの強さとは乖離してしまっていましたが。

これ以外ではメカ: プライムもある程度のリスクを取って作成した特性でした。龍術師に着想を得た特性である以上、「メカドレイヴンが強力すぎる」といった問題も起こり得ましたし、ここでもメカの2コストが4コストを打ち負かす可能性があったのです。そこでメカ: プライムには、ユニット2体を犠牲にする制限を設け、パワースパイクと代償の折り合いをつけました。総合的には、一部の例外(超強力だった時のセト、ハッカードレイヴン)を除けば「超合体ユニット」たちには及第点をつけられるのではないかと思います。このゲームデザイン要素はまだ探究の余地があると考えていますが、リスクの高さも当然承知しています。

4~5コスト★3のプレイ感と実際の強さについては、何体か顕著なユニットは存在したものの、まだ改善の余地があると考えています。セット終盤になっても、4~5コストの★3が敵の★2ユニットに負けることはままありました。パッチ13.9で5コスト★3に体力4000を追加したのも、チャンピオンに想定される強さと現実のギャップを解決するためのものでした。5コスト★3は圧倒的に最強であるべき存在ですから。

上位ティアチャンピオン間のパワーレベルがあいまいになったケースの例としては、北アメリカのLCQで★2ミス・フォーチュンが★3ワーウィック、ベル=ヴェス、サミーラを倒したシーンなどがありました。これらは稀なケースであっても、開発チームが解決せねばならないゲームバランスの課題です。過去のように4コスト★3が無条件に1位を約束するような状況は避けつつ、今後もプレイヤーが想定するチャンピオンの強さと実際の強さのバランスを着実に合致させていきます。

序盤のエコノミーとリスク&リターン:

エコノミー特性はTFTにとって非常に重要な存在であり、作成する際には使いやすさとワクワク感を特に重視しています。「ドラゴンランド」には多数のエコノミー特性がありましたが、アストラル、ラグーン、シマースケールなど、ほとんどがプレイヤーの行動に対してラウンドごとに細かな報酬が与えられる「小出し報酬」でした。こうした小出し報酬は極めて強力です。TFTのエコノミーは複利式であるため、特にステージ2で発動できた場合には効果的でした。一方で、小出し報酬では過去のエコノミー特性(フォーチュン、マーセナリー)のような豪華キャッシュアウトほどのワクワク感は期待できません。

そこで「モンスターアタック!」では序盤戦から小出し型エコノミー要素を排しました。これは序盤戦の健全性維持に大きく貢献したと思います。小出し報酬は新しいプレイスタイルを生み出す一方で、通常のゲームペースを大幅に逸脱する原因にもなります。このような経緯から、今後も「小出し報酬」はオーグメントシステムでのみ検討するようにします。小出し報酬が好きだったのに…という方もご安心ください。オーグメントというゲーム要素にはこの種のゲーム体験を作る余地がたくさん残っています。たとえばガングプランクの「稼ぎ」やシヴィアの「残業手当」などは、ワクワク感とゲームの健全性を両立したヒーローオーグメントでした。

バグとバランス調整:

「ドラゴンランド」は色々な意味で苛烈なセットでした。メイン/ミッドセットはどちらもリリース時に許容できない数のバグがあり、さらにいくつかのゲームバランス問題は最後まで解決されませんでした。前回このトピックについてお話しした際、私たちはバグとゲームバランスを担当する新チーム「ゲームアナリシスチーム」(略称GAT)の立ち上げに着手したとお伝えしました。当時はメンバーを集めている段階でしたが、あれからGATにもメンバーが揃っており、次のセットからはリリース時のクオリティーが向上していくことになるでしょう。

おっと、今回のトピックは「モンスターアタック!」でしたね。今回もリリース時点でのバグやバランス問題は存在していましたが、ドラゴンランドと比較すると大幅に改善できたのではないかと考えています。そしてチームサイズの拡大と年間3セット制への移行は、開発チームが各セットに一層専念できる環境を作り出し、結果的に各セットの洗練度も高めていくでしょう。新しいセットモデルへ移行した成果は、次の次のセットから実感してもらえるでしょう。とはいえ次のセットにはもうゲームアナリシスチームの支援が入っているため、リリース時点での品質向上は体感できるようになるはずです。

オーグメント:

オーグメントはゲームデザイン的にもまだまだ探究の余地がありますから、引き続き常設要素とします。ヒーローオーグメントから学んだ教訓と次セットでの取り組みについては、後半の該当項目をご覧ください。

今後の取り組み

あれから約4年:

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TFTはもうすぐ4歳を迎えます。この年月を通じ、コアゲームシステム(アイテム、チャンピオン、特性)は総合的に見ても良い状態に到達しました。もちろんここに至るまでにはいくつもの過ちがあり、私たちはそれを教訓としてきました。実際、この振り返り記事もセット1の頃に始まったものです。しかし今や教訓のほとんどは、TFTのコアゲームシステム全般ではなく特定のゲーム要素にまつわるものとなりました。

とはいえ今セットでは1点、TFTのゲームシステム全般に影響する変更を実施しました。それはアイテム出現仕様の見直しです。長らくフラストレーションの原因となっていたこの点にパッチ13.5で大型変更を加え、試合ごとの変化幅を維持しつつプレイヤー間の公平性を向上させました。ゲームに求められる内容は変わり続けていくものなので、私たちは今後も改善すべき点を常時──新セットのリリース時に限らず──探し続けていきます。近日中にもQoL(利便性)向上施策をいくつか実装予定で、それ以外にも規模の大きな変更も控えていますので、ぜひ楽しみにしていてください。

それからもう一つ。このセクション内の上記画像は、新タクティシャン「バースデーサプライズ フワ」のスプラッシュアートです。このフワはパッチ13.12でのミッションを完了すれば、誰でも無料でゲットできます!


後衛強襲能力 - ハッカー&アサシン:

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「モンスターアタック!」はアサシン不在の新鮮なセットとなりましたが、代役を務めたハッカーもセットテーマをよく表現したものでした。そしてこのハッカーという特性は、「後衛強襲能力」がフラストレーションを生み出す原因を理解する上で重要な役割も果たしてくれました(特に「グリッチド アウト!」で顕著でした)。当たり前ですが、最重要アイテムを3個持たせた火力役のキャリーチャンピオンがラウンド開始5秒でキルされる体験が楽しいはずはありません。しかしハッカーはそんなプレイをあまりに確実に決めすぎていました。しかし、後衛強襲能力は悪なのかといえばそうではありません。適切なバランスさえ保たれていれば、位置取りの駆け引きは見る者を惹きつける魅力にもなり得ます。問題はそれと強烈なバーストダメージが組み合わさった時、単一キャリー構成(ほとんどの構成はそうです)が完全に無力化されてしまう点にあります。これを踏まえ今後は、後衛キャリーを一瞬で排除する難易度を大幅に上げるようにしていきます。

脅威 - 超柔軟なチャンピオンたち:

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脅威は「モンスターアタック!」有数の成功を収めた要素でした。独自性の高いユーティリティーを持つチャンピオンを、チームの方向性に制限されることなく採用できるのは非常に有効だったのではないでしょうか。ラムス(私は却下したのに…)は本命タンクを入手するまでのメイン前衛、ベル=ヴェスは序~中盤の安定した火力役、オレリオン・ソルはまず回復妨害、後に火力役、モルガナは圧倒的なユーティリティー性能でそれぞれ活躍していました。どのユニットも成功だったと思います。

一方、5コストのユニットについては柔軟性という特徴を慎重に扱う必要がありました。チーム構成を問わず問答無用で起用すべきユニットになってしまうからです。今回でいえばフィドルスティックスやアーゴットはまさにそういう存在になりがちでした。以上を踏まえた上で、次のセットでも脅威と似たチャンピオンを少なくとも1体登場させる予定ですが、今回のように問答無用で起用できる状態は予防するよう注意していきます。また柔軟なユニットのゲームデザインについては今後も探究を続け、独自性を深掘りしていくつもりです。

オーグメント - 特性+1

今回のセットでは特性を+1するオーグメントで苦労することになりました。特に問題になったのは、通常は上位ティアの発動難易度が高い特性のオーグメントです。たとえばレーザーコープ、ガジェッティーン、スターガーディアン、リフトウォーカーなどは早い段階で上位ティアボーナスを発動できると凄まじい有利を作り出していました。もちろんこの種のオーグメントや紋章には、新たなチーム構成の可能性を広げるという好ましい側面もあります。たとえばリフトウォーカーの紋章でザックにどの特性を持たせるかを想像するのは、それだけでもワクワクするものです。とはいえこれはより慎重に設計すべきポイントです。一定数以上/最上位ティアの特性ボーナスは、高コストチャンピオン(ガジェッティーンならヌヌ、レーザーコープならモルデカイザー)を入手しなければ発動できないからこそ、あれほど強力なのです。というわけで、特性の書やオーグメントなど特性カウントを増やす要素も増えてきたため、今後も特性の上位ティアボーナス発動につながるオーグメントには細心の注意を払い、必要に応じて無効化・削除も実施するようにしていきます。

オーグメント - コンテンツの刷新:

オーグメントが導入されてから3セットが経過した今も、開発チームはこのゲーム要素を大変気に入っており、探究の余地もまだまだあると感じています。今回のヒーローオーグメント(詳しくは後ほど)も、オーグメントが持つ可能性を改めて証明するものだったと言えるでしょう。というわけでオーグメントは続投です。ただし天の祝福、偽の前衛、起死回生など多数のオーグメントは定番化し、新鮮味が失われてつつあります。すっかりお馴染みになったオーグメントをあと1セットプレイするのはあまりに厳しいため、次のセットではかなり大規模なオーグメントの刷新を行う予定です。既存オーグメントのコンセプトを調整したものからまったく新しいゲームデザインコンセプトを用いたものまで、新オーグメントが多数登場する予定なので楽しみにしていてください。果たして皆さんがどんな活用法を見出すのか…私自身もとても楽しみにしています。

ヒーローオーグメント:

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続いてはセット固有要素、ヒーローオーグメントについて。ヒーローオーグメントには確かに課題もありました。特定のチーム構成を強いられがちになる、構成変更が難しくなる、各ヒーローオーグメントの有用性が同等でない場合が多い、極めて限定的かつニッチな条件下でしか活用できない、何コストのヒーローオーグメントが出現するのかによって試合の流れが大きく変化する…。そしてヒーローオーグメントのもたらす制約は、「自分が狙いたいチーム構成と違いすぎる」、「自分が楽しめないチーム構成を選ばざるを得ない」といったフラストレーションも生み出していました。パッチ13.3でヒーローオーグメントのリロールを4回可能にする変更を実施したのはそのような経緯によるものです。チーム構成に大きな影響を及ぼす要素だからこそ、プレイヤーがより主体的に関与できるようにしたのです。当時は大胆で賛否の分かれる変更と捉えられ、確かにコミュニティーでも意見は割れていました。しかしセットの半分をリロール4回の仕様でプレイした今、リロール1回に戻るなんて考えられるでしょうか?

ヒーローオーグメントのリロール4回化からは実にたくさんの学びを得られました。私たちは早速その学びを次のセットにも反映させ、オーグメントシステムの改善に取り組んでいきます。

最後に取り上げるのは、ヒーローオーグメントの品質と「楽しさ度」についての教訓です。楽しさ度なんて表現は言葉に厳しい人なら眉をしかめるかもしれません、ちょうど私たちが「チャンピオンを単純に強くするだけ」のヒーローオーグメント(ヴェインの拡散弾など)を気に入らなかったのと同じように。

とはいえ、テストしたゲームデザイン案の中には未だに気に入っているものもあります。たとえばニーコの「あふれる緑」は特定アイテムとオーグメントの効果(ショウジンの矛と魔力増加)を結びつけたもので、取得したプレイヤーは「たくさんショウジンを作る」という普段とは違うゲームプレイを推奨されます。また、チャンピオンの活かし方を完全に変えるヒーローオーグメントは、プレイする楽しさと大化けする可能性を両立させてくれました。ナサスの「スタック!スタック!」やシェンの(リワークされた)「時空の剣」などが代表例で、こちらは低コストチャンピオンと特に相性が良いことが分かりました。こうした「大化けする」可能性を秘めたオーグメントはまったく独創的なチーム構成を可能にし、時に超銀河級頭脳プレイ(シェンにラピッド ファイアキャノンを装備させるだけですが)も生み出しています。というわけで今後は、ヒーローオーグメントの中でも特に上手くいった要素にしっかりと学び、新セットの新しいオーグメントを作成していきます。既存の人気オーグメントをベースにしたものはごく少数に留まることになるでしょう。


今回の記事は以上です。スパチュロポリスを守り、時にフィードバックも寄せてくださった皆さん、本当にありがとうございました。私たちは皆さんからのフィードバックを大切にしています。それはこうした記事でも伝えられますが、それよりも大切なのは教訓を今後のセットに活かしていくことでしょう。実のところ、日本時間5月31日に最新情報をお届けする予定ですので、お近くのポータルにぜひ注目していてください!それではまた次回、お会いしましょう!