/dev: TFT: エレメントの目覚めから学んだ教訓

カウンター要素、無力化要素、ボードの視認性、バランス、そしてへらについて。

そろそろTFTセット2「エレメントの目覚め」の終了が近づいてきました。そこで今回はセット1の「教訓」で約束した内容と結果を突き合わせつつ、新たなチームファイト タクティクスに向けた教訓についてお話ししていきたいと思います(先日の発表を見逃された方へ:次回のセット3の名称は「TFT:ギャラクシー」になりました。新ゲーム要素の紹介や新オリジン・特性のプレビューはこちらからご覧いただけます)。


今回はかなり詳細まで踏み込んだ内容になりますので、まずは概要だけ紹介しましょう:

振り返って…

  • 「TFT:ギャラクシー」ではターゲット指定スキルのランダム性が大幅に抑えられ、特定の相手への対応策として利用できるようにします。
  • 「エレメントの目覚め」リリース時のバランスはセット1よりも良い状態(有効な戦略の選択肢が多く、大規模調整の回数も減少)でしたが、この点についてはまだ改善の余地があります。
  • 「エレメントの目覚め」では強力な無力化効果を持つ特性(グレイシャルなど)が生み出すフラストレーションを低減できましたが、この点については今後も継続的に目を光らせていきます。
  • ソフトカウンター(相手の強みを軽減する手段)は良いけれど、ハードカウンター(相手の無力化に近い対策)はあまり望ましくありません。今後もソフトカウンターを増やし、ハードカウンターはさらに減らしていきます。
  • 「ギャラクシー」ではセット中盤で大規模な拡張を一回行うようにし、特性やチャンピオンを単発的に小出しで追加はしません。
  • バグの状態は未だに芳しくありません。「エレメントの目覚め」で減りはしたものの、もっと改善していく必要があります。

今後の方針は…

  • スキルの影響度・視認性・ビジュアルのワクワク度をさらに高めていきます。
  • キャリーとして運用できるチャンピオンを全ティアで増やしていく予定です。
  • 大規模特性(多人数ボーナスがある特性)は有効な選択肢であるべきですが、様々な特性を組み合わせたクリエイティブな構成よりは若干弱い程度の性能が望ましいと考えています。
  • へらがドラフトラウンド(通称:回転寿司)に復活します。ただし運頼みになりにくい、新たなかたちで登場します。
  • ランク戦の新シーズンは「ギャラクシー」のリリースと同時に開幕し、ランクリセットの仕様も変更となります。

振り返り

では早速、セット1で学んだ教訓をセット2である「エレメントの目覚め」でどう活用したのかお話ししていきましょう(今後更に改善していきたい要素にも併せて触れていきます)。

「ランダム性をゲームがポジティブな影響を及ぼすようにし、許容範囲内に収まる状態を維持します」

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この点は進歩があったと思いますが、まだまだ改善の余地が残されています。ファントムやヘクステックのような「凶悪」特性こそ無くなりましたが、一部の要因は未だにランダム性が高く、それがラウンドの勝敗を左右してしまいました。「エレメントの目覚め」リリース当初、「マウンテン」はファントムの逆バージョン(敵の1ユニットを瀕死にするのではなく、味方1ユニットが倒されなくなる)と捉えられることが多かったのですが、これは当初懸念したほどの事態にはなりませんでした。

一方で、スキル対象の選択がランダムである点はより大きな問題となりました。

スキル対象をランダム選択するチャンピオンが多数存在したため、ラウンドの勝敗がこの一点に左右されてしまう状況が頻発したのです。リリース直後にスキルの発動マナが多かったタリヤとアジールが顕著な例で、最初の一発を誰に放つかがラウンドの勝敗を大きく左右してしまっていました。他方、同じように対象をランダム選択するスキルを持っていても良い状態だったチャンピオン(マルファイトやラックス)もおり、そういったチャンピオンの存在は勝敗を健全な範囲で決定づけていました。これは範囲スキルならば対象がランダム選択でもユニット配置の工夫で対処できたためです。一方で戦闘序盤に1体を対象とするCC(行動妨害)スキルを放つチャンピオンの場合、これが「サイコロを振る」ような運任せになってしまっていました。

これを受け、次のセットではスキル対象がランダム選択される状況を大幅に減少させ、代わりに特定の相手への対応策として機能するようにします。例えば新スキルのひとつは最も攻撃速度の高い敵ユニットを必ず対象とするようになっています。こういったスキルはゲーム理解度で対戦相手を出し抜くチャンスをより多く生み出すことになるでしょう。

「バランス調整については今まで以上の水準をご期待ください。どのパッチにおいても、幅広いチーム構成で勝利を目指せるようにします」

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こちらもセット1と比較すると大幅な改善ができたポイントだと思いますが、まだ完璧とはとても言えません。「エレメントの目覚め」の総合的なバランスはセット1と比較すればかなり改善され、圧倒的に強いユニット/構成の発生数もぐっと抑えられたと思います。一方でミスもありました。リリース直後のシンジド、パッチ9.23のブランド、パッチ9.24のアムム、ブレードマスターノクターン/アジール、ヨリックとゼド…いずれも特定のパッチで猛威をふるいましたが、これらは明らかにバランス調整から生じた問題でした。

一方、「エレメントの目覚め」のゲームバランスは2つの要因に大きく助けられました。ひとつはこのセットのゲームデザイン自体がカウンター要素の選択肢を生み出してくれる状況が多かったこと。たとえば圧倒的に強いユニット/構成と対峙しても、ミスティックやクラウドなどの特性で対抗できる可能性がある、といったように。もうひとつは、圧倒的に強いユニット/構成が出現した際に開発チームが迅速に対処できたこと。圧倒的に強い要素が確認できた場合はBパッチで調整できたため、過去よりも迅速にバランスを再調整できました。またバランス調整にあたっては常に軽めに変更していく方針を取ったため、パッチが当たるごとにメタが大きく変化したり、プレイヤーが置いてきぼりにされたりしにくくなりました。

というわけで、バランス調整については一定の成果を出せたものの、改善の余地はまだまだあります。今後も各パッチでより多くのチーム構成が活躍できるよう責任を持って尽力していきます。

「フラストレーションを下げること、無力化手段の総数を抑えることを目指します」

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この約束はかなりの部分で果たせたのではないでしょうか。セット1と比較すると無力化手段の種類は大幅に減らすことができました。エレメントの目覚めにおいて「フラストレーション要素」となったのはおそらくグレイシャル・バーサーカー状態のオラフのみだったでしょう。攻撃速度1.5(あるいはそれ以上)のユニットが範囲攻撃で複数のユニットをスタンさせられるというのはいささか許容範囲を超えていました。オラフの場合、性能的にバランスが取れている時期はもちろん、やや弱い状態にある時期でさえ、味方全員を凍らせてくるという状況がフラストレーションを生み出していました。無力化手段はゲームペースを維持して戦闘の緊張感を生み出す要素として機能していれば健全なものですが、度が過ぎれば(リリース直後のグレイシャル(6)のように)ゲームの均衡が崩れてしまいます。

以上を踏まえ、今後は無力化の効果をすべて排除するのではなく(無力化もTFTチャンピオンのゲームデザインの一部です)、合わせて戦略的・戦術的に対処する方法も提供するように注視・対処し続けていきます。

「エレメントの目覚めでは各特性をソフトカウンター寄りの効果にします」

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この約束はしっかりと果たせたと考えていますが、同時に多くの教訓を得ることもできました。「エレメントの目覚め」ではセット1におけるドラゴン(魔法ダメージ100%軽減)のような要素は排除し、代わりにミスティックやクラウドといった特性を導入しました。これらの特性は対戦相手の構成に対するスマートな対策となりうる一方で、特定の構成が相手なら何も考えずに勝てるほどの性能とはなりませんでした。これは意図した通りの結果です。

しかしこの点からもやはり教訓は得られました。ミスティックのように「うまくゲームデザインできた」と考えていた特性も、プレイヤーによってはハードカウンターだと感じられていたのです。またこれ以外にも「ハードカウンター感」のある特性がいくつかありました(極端な例で言えば、デザート(4)を相手にワーデン(6)で立ち向かうなど)。次のセットでは、ここで得られた教訓を糧に引き続きソフトカウンター特性を活用しつつ、ハードカウンターの出現を予防していきます。

「エレメントの目覚めでは追加コンテンツの総量を減らしつつ、1パッチごとの追加量は増やしていきます」

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これについては…確かにセット1の時のような「チャンピオンを1体だけ追加する」パッチこそ出しませんでしたが、コンテンツ追加パッチはまだ納得のいく姿になっていません。

「エレメントの目覚め」では、大型コンテンツ追加パッチは2回リリースしました。

  • 9.24:ルシアン、セナ、アムム、ソウルバウンドの追加とUIの改善
  • 10.1:レオナ、カルマ、ルナーの追加とアイテムリワーク

これ以外のパッチはおおむねバランス変更と小規模なシステム調整(ドラフトラウンドにへらが出現しなくなる変更など)でした。しかし開発チームとしてはさほど大きくないコンテンツパッチを2つだけ出すだけでは「全力を出し切った」手応えがなかったため、「ギャラクシー」では別のやり方を試していきます。具体的には、パッチ中盤で拡張を一度だけ行なうことにし、そのパッチに全力を注いで新要素をお披露目する、とっておきの瞬間にするつもりです。

「Bパッチの規模を最小限に留め、性能が極端に高い要素をナーフする時にのみ使用します」

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これはしっかりと達成できました。パッチ9.22、9.23はBパッチなし、パッチ9.24では大型Bパッチをリリースしましたが、これはホリデーシーズン前という時期に起因するもので、他の時期ならばこの規模にはならなかったでしょう。10.1では小規模なBパッチ(修正点は3つのみ)をリリースしましたが、これはまさに約束にある「性能が極端に高い要素を弱体化(ナーフ)」する目的でしたし、10.2でもBパッチはリリースしませんでした。


私たちが掲げた目標はセット1のときよりも変更を少なく適度な量に抑えることでしたが、どうやらこの目標は「エレメントの目覚め」で達成できたようです。次のステップは各パッチのバランス変更項目を可能な限り抑えて、現在ほど目まぐるしくメタが変化していかないようにすることです。以上を踏まえ、Bパッチの原則は次のセットでも継続とし、性能が極端に高い要素をナーフする際にのみ用いることとします。

「エレメントの目覚めではバグ/問題を減らします」

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バグの数については前回よりもずっと抑えられたように感じています。たとえば「エレメントの目覚め」の間はランク戦キューが落ちることもありませんでした(セット1の時はリリース以降の数パッチで何度かランク戦キューを落とさざるを得ない状態が生じていました)。とはいえ、いくつかのバグはかなり長い間修正されずに残ってしまったので、反省すべき点は多々あります。

ザイラの召喚ユニットがスキルの対象扱いされていた、キンドレッドがジュエルガントレットを装備してもスキルがクリティカルヒットしなかった、クイックシルバーがCC(行動妨害)と一緒にダメージまでブロックしていた…これらは複数パッチにまたがって修正されなかったバグの一例です。各バグは個別に見ればそれほど大きな影響を及ぼさないかもしれませんが、それらが積み重なれば「TFTというのはなんだか不完全なゲームだな」という感覚を生み出してしまいます。こちらについては引き続き尽力していきます。


今後の方針

以下の項では、「エレメントの目覚め」から学んだ教訓について紹介してみたいと思います。御存知の通り、うまくいった施策もあればそうでもない施策もありました。

スキルのインパクトとワクワク感

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セット1よりもうまくやれなかったと感じている要素のひとつに、各スキルがセット1の時ほどワクワク感とインパクトを出せていなかった点があります。これについてはセジュアニとマルファイトのスキルを比較してみると分かりやすいでしょう。両者はかなり似た役割(前線を張るタンクによる範囲CCスキル)を持っているのに、セジュアニのスキルのほうが放たれた瞬間の期待感がずっと大きく、インパクトも明確でした。しかも、これですら例の一つに過ぎません。

セット1のカーサス、チョ=ガス、ケネン、ガレン、ブリッツクランク、リサンドラといった各チャンピオンのスキルは、発動時に大きな影響力を及ぼしながら、ワクワク感も兼ね備えていました。一方でシンドラ、マスター・イー、ノーチラス、アジールといった「似たような役割を果たすスキル」を持つチャンピオン達からは同等のインパクトを感じにくく、ワクワク感も引き出し難かったように感じます。結果的に、バトルを観戦するプレイヤーのワクワク感も下がってしまいました。

そこで次のセットでは、強烈なインパクトとワクワク感を兼ね備えたスキルを豊富に揃え、観戦のワクワク感も改善していきます。

戦闘の視認性

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上と似たトピックではありますが、独立した項目としてお話しする意義のある要素です。さまざまな変更とチャンピオンにより、「エレメントの目覚め」では最終的に戦局を把握するのが非常に難しくなってしまいました。一番の原因は「サモナー」たちで、ザイラのプラントとその攻撃、マルザハールのヴォイドリング、アジールの見えづらい召喚ユニットなどにより盤面で発生するアクションが極めて多くなったことで、戦局を見極めるのがほぼ不可能になるような状況が頻発してしまったのです。

それに加えてスキルや効果の中には視認性の低いものも数多く存在していました。たとえばバーサーカー特性の効果は「見えない範囲攻撃」のようになっていたため、プレイヤーにとっては「ちゃんと発動していると信じるしかない」状態でした。しかしそれでは戦況把握も困難ですし、ワクワク感も生じにくくなってしまいます。この他、シンドラやタリヤのスキルに飛んでいくエフェクトがない、ヤスオとカ=ジックスがボード上を高速移動し続ける、シヴィアの跳刃の表示が小さすぎた、なども反省すべき点だと考えています。この教訓を踏まえ、次のセットではスキルの視認性を高め、はっきりと判別できるようにしていきます。

チャンピオンのバランスとゲームデザイン(再び)

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これは単体で記事が書けるくらい大きなトピックですが、ここでは重要なポイントに絞ってまとめてみたいと思います。

まず、★レベルごとのスキル威力/ステータス上昇バランスはかなり改善されました。実はこの点については「エレメントの目覚め」で大きな変更を加えています。ひとつは★3ユニットのステータス上昇を廃止し、代わりにティア4~5の★3ユニットのスキル威力を大幅に増加させたこと。もうひとつは、アイテムの性能が★レベルに応じて強化される仕様を組み込んだことです。この2つの変更は「勝利を目指せる選択肢」を増やし、レベルアップの満足度を高め、試合の「勝ち方が固定される感覚」を予防する役割を果たし、結果的にゲームの状態を改善したと考えています。とはいえ、この分野でも改善の余地はまだまだあります。現状では序盤を過ぎると★1ユニットが弱すぎて構成に組み込めないと感じられるので、「TFT:ギャラクシー」ではこのあたりの調整も引き続き行なっていくつもりです。

「エレメントの目覚め」ではティア1~2チャンピオンが弱すぎました。例外はいくつかありましたが(★3コグ=マウとヴェインなど)、終盤戦でティア1~2チャンピオンが有効な戦力だと考える人はいなかったのではないでしょうか。こういったチャンピオンは特性ボーナスを発動するために盤面に出しているだけで、勝利に貢献する/戦闘で活躍するユニットたりえませんでした。その点、セット1にはルシアンやリサンドラ、ゼドといったチャンピオンがいました。私たちは終盤戦で活躍できるティア1~2チャンピオンがもっと必要だと考えています。次のセットではこれを実現するべく、しっかりと注力していきます。

スキルをデザインする際、クリエイティブ性とゲームバランスを両立させるのは非常に困難です。たとえば「エレメントの目覚め」のゼドは良いチャンピオンだったでしょうか?ゼドは非常にエキサイティングなティア5ユニットであり、数々のビッグプレイを生み出してくれましたが(特にAll-Star Eventでのゼドvsシヴィアは強烈でした)、一方で彼は活躍時と不振時のブレ幅が極端なチャンピオンでもありました。ゼドは非常に扱いにくく活躍できないことも多いのですが、適切なアイテムを揃えた時には圧倒的な強さを発揮します。ガーディアンエンジェル、リデンプション、ドラゴンクロウを揃えたゼドはとても強力でしたが、そのビルドは彼のイメージとはずいぶん離れたものです。…とここまでは否定的な言葉を並べてしまいましたが、それでもなお、ゲームとジャンルに新たな可能性を吹き込んでいく上でクリエイティブなスキルを探求し続けることは重要だと私たちは考えます。というわけで、次のセットでもこういった類のユニークなスキルは増やしていきます。その際には、もちろんゲームの健全性にもしっかりと配慮していきます。

ずいぶん長くお話ししてしまいましたが、これでもまだほんの一部に過ぎません。他にもお伝えしたいことはたくさんあるのですが、ひとまず今は新セットのチャンピオンとスキルのゲームデザインはさらに改善され、各ティアに満足感の高いキャリーを揃えていくことをお知らせして締めくくりたいと思います。

大規模特性と小規模特性

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お話しを始める前に明確にしておくと、ここで言う「大規模特性」とは多人数ボーナスのある特性(インフェルノ(6)、ライト(6)、バーサーカー(6)など)を指し、小規模特性とは少人数で完成する特性(マウンテンなど)や大規模特性を少人数で止めた場合を指します(例:メイジ(3)、インフェルノ(3)、サモナー(3)構成)。

「エレメントの目覚め」のリリース時、大規模特性はいずれも終盤戦を勝ち切るだけの強さがない状態でした(おそらく例外はライトのみ)。例えばメイジ構成では、強力なメイジと強力な特性を組み合わせてキャリーの性能を底上げし(ブランド、ブラッドミア、シンドラでオーシャンとメイジを発動させる)、他のメイジを無視することで特性のコンビネーションを最大化する構成が活躍していました。このような構成は熱心に戦略を研究しているプレイヤーにとっては非常に楽しいものでしたが、一方でせっかくインフェルノ(9)を完成させたのに活躍できないといった状況も生んでいました。そこで「エレメントの目覚め」期間中にはインフェルノ、バーサーカー、メイジなどに修正を加え、各特性の戦略的有用性を高めてきました。

しかし遺憾ながら、一連の修正によりパワーバランスは真逆に振れてしまいました。セット終盤になると特性ボーナス(6)が主流となり、バーサーカー(3)やメイジ(3)といった構成はほとんど見られなくなりました。私たちとしては大規模特性は常に有効な選択肢としながらも、さまざまな小規模特性を組み合わせたクリエイティブな構成の95%程度の強さにしたいと考えています(両者が理想的構成を完成させた状況を想定)。このバランスは、小規模特性を巧みに組み合わせる難易度が高いことを考慮してのものです。新セットでは、この目標を達成するべく特性のバランス調整とゲームデザインを行ない、クリエイティブな構成の選択肢を広げていきます

へら

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セット1とセット2「エレメントの目覚め」の両方において、へらの獲得を前提とした構成が猛威を振るうメタが何度も生じました。これは通常、1)特定チャンピオンに通常持ち得ない特性を付与する、2)完成の難易度が高い構成を早く完成させる、のいずれかの形で生じています。セット1のヴォイド/アサシンカサディン、「エレメントの目覚め」のブレードマスターノクターンとアジールなどが顕著な例でしょう。プレイヤーの皆さんはこれらの構成を完成させる確率を高めるためのゴールド獲得術とプレイヤーダメージコントロールを最適化しましたが、これは当初私たちが想定していたへら派生アイテムのあり方とは異なっていました。

へらはもともと極めてレアなアイテムとして想定しており、入手することで新たな可能性を開く幸運のアイテムとしてデザインしていました。にもかかわらず、ドラフトラウンド(通称:回転寿司)におけるへらの出現率が(特に最初の頃は)…率直に言って高すぎました。そこでパッチ10.3では試験的にドラフトラウンドでへらを出現させない変更を加え、その影響を検証しました。結果はおおむね良好でしたが、チームはより洗練された手法で対策すべきだろうという結論に達しています。へらについては、今後も頼りになるアイテムという存在感を維持しつつ、「入手できたらどう利用するか順応していく」アイテムという位置付けにしていきます。

新セットでは、へらがドラフトラウンドに帰ってきます…が、運頼みになりにくい、新たなかたちで登場します。皆さんが新しい環境でへらをどう活用していくのか、チーム一同楽しみにしています。

その他

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もちろん話したいことはまだまだ尽きませんが、既にかなりの長文になってしまったので、最後に要点をいくつかまとめてご紹介することとします。

まずはランク戦について。リリースパッチでランク戦が遊べなかった点と、ランクリセットの仕様はセット3「TFT:ギャラクシー」で改善可能なポイントだと考えています。シーズン序盤にブロンズ帯でダイヤモンド以上のプレイヤーと当たるせいでなかなか昇格できないのはランク戦の体験を下げていたため、まずこの点を改善します。また、ランク戦はリリースパッチから即時プレイ可能になります。

最後に…ゴールドのインフレ状態について。試合開始直後にすべてのユニットを購入できてしまう状態は、ゲームが持つ「取捨選択」の楽しさを消してしまいますし、クルーグラウンド時点で苦もなく50ゴールドを貯められる状況はスノーボール(有利がより大きな有利を呼ぶ状態)を生みやすく、試合速度が私たちの意図する速さを超えてしまいます。このため、ゴールドのインフレについては次のセットで大規模な変更を加える予定です。


おわりに

これにて「エレメントの目覚め」は終幕となります。TFT開発チームを代表し、プレイしてくださった皆さんに心から感謝申し上げます。今後も全力でより楽しいTFTを作るべく開発に取り組んでいきますので、皆さんの希望やご意見は今後もぜひお寄せください。皆さんの情熱は私たちが前へと進むための燃料ですから。それではランク戦での武運長久を願いつつ…新セット「TFT:ギャラクシー」でお会いしましょう。

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