TFT:ギャラクシーから学んだ教訓

得られた教訓は「チームファイト タクティクス:宿命」でも活かしていきます。

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はじめに

またセット終了の時期がやって来ました。そこで今回も、過去セットで得た教訓をギャラクシーでどう活用したかを振り返り、さらに今セットで得た教訓を今後どのように活用していくかお話ししてみたいと思います。いわばこれは、日々TFTをより良いゲームにしようと尽力し続ける開発チームの頭の中を皆さんに紹介する記事、とも言えるでしょう。

要約

セットの振り返り記事は毎回、かなり細かな点まで踏み込んだ内容になるため長くなりがちです。そこで全部読むには長すぎる!という方向けに要約を用意しました。…とはいえ、まとめても結構なボリュームになってしまいましたが…。

振り返り

  • 今セットではスキルが試合に与えるインパクトとワクワク感を大きく向上できました。この流れは今後も継続していきます。
  • アリーナ上で起きるアクションの視認性向上も一定の成果を挙げることができましたが、改善の余地はまだまだあると考えているため、新セットの「宿命」でも改善に取り組んでいきます。
  • 各ティアにおける「キャリーのあるべき姿」がかなり把握できてきたので、今後もティアごとに満足感のあるキャリーを作るよう注力していきます。
  • 総合的な観点から見た場合、多くの特性は有用性(試合において実用的)という面で一定以上の水準に落ち着いたと考えています(たとえば、ほとんどのパッチでは終盤戦を戦える構成が多数存在しました)。一方で、一部の特性は存在意義を見いだせない状況が継続的に発生していたのも確かです。
  • へらに関しては、その強さと派生アイテム間のパワーバランスは良い状態にあると考えており、今後も方向性は変えずにいきます。ただし…「デモリッショニストの爆弾」(装備者にデモリッショニスト特性を付与するへら派生アイテム)だけはまったくの失敗でした。

今後の取り組み

  • ギャラクシーが試合ごとに変化を生み出す感覚(特にギャラクシー固有のドラフトラウンド)はとても良かったと考えています。これは過去のセットとは大幅に異なるポイントとなりました。今後のセットでもテーマを活かしたゲーム要素を作っていきますので、どうぞお楽しみに。
  • TFTのようなゲームではプール(カードゲームでいう「山札」)に存在する各チャンピオンの総数が非常に重要です。この数を変更するとゲームの様々な面に連鎖的な影響を及ぼします。このため次のセットはチャンピオン58体でリリースし、この数を最後まで保ちます。
  • 今セットのギャラクシー要素は、想定した水準に達していないギャラクシーであっても試合を盛り上げる効果がありました。これを受け、現在は成功例をベースにした案をTFTの恒久的要素として追加する手法を模索しています。
  • 完成アイテムのみのドラフトラウンドは廃止し、極端なアイテムに寄ったドラフトラウンドも総合的には大幅に減少します(ただし極稀に「自然の力」のみのドラフトラウンドは出現します)。
  • 今後は、アイテムが多様なチーム構成で活きる(あるいは特定のチーム構成で多様なアイテムが使える)環境を作りたいと考えています。特定のチーム構成で特に強さを発揮するアイテムがあっても構いませんが、あるチーム構成にはこのアイテムが必須、というような状況が生じるのは避けたいと考えています。
  • 利便性とユーザー体験をもっとぐぐっと高めていきます。もっとぐぐっと、です。
  • ゲームプレイのアップデート時(パッチのリリース時)には、変更意図をこれまで以上に詳細かつ具体的に伝えていきます。

振り返り

まずは「エレメントの目覚め」終了時に改善を約束した要素について見ていきましょう(詳しくはこちらをご覧ください)。

スキルのインパクトとワクワク感

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「エレメントの目覚め」では、スキルのインパクトとワクワク感がうまく出せなかったことを反省点に挙げ、次セットでは見ていてワクワクするようスキルを改善していくと約束しました。

この約束は、今回の「ギャラクシー」でしっかりと果たせたように思います。どのティアにも熱い瞬間を生み出すスキルを持ったチャンピオンが揃えられたのではないでしょうか。序盤ではダリウスの連続ダンクやジグスの爆弾、中盤では軽やかに転がり続けるヴェインやシャコの変幻自在な動き。そして終盤はヴェル=コズのレーザーやケイルの高速剣撃。さらにはミス・フォーチュン、ガングプランク、エコー、アーゴットといったレジェンダリーチャンピオンたちや、我らがスーパーメカまで!総合的に見てこの点は大きな改善ができたと考えており、今後のセットでも引き続きワクワク感たっぷりのプレイ体験をお届けするべく改善を続けていきます。

戦闘の視認性

「エレメントの目覚め」終了時には、戦闘の視認性も改善すると約束しました。当時は盤面がユニットやエフェクトで埋めつくされていた上、「強さの可視化」が適切にできていなかったため、状況を追いきれなくなってしまっていたのです。

「ギャラクシー」ではこの点も大幅に改善できました。具体的にはスキルの速度を遅くし、対象に向けて飛んでいくエフェクトを持たせ、見やすさに配慮するなどの対処を実施しています。またケイトリンやジグス、ゾーイ、ラカンなど見失いやすいチャンピオンが目立つようにも気を配りました。

ただこの点もまだ完璧ではなく、エフェクトやスキル対象が目立たなすぎるスキルはまだ残っています。たとえば、グレイブスの「スモークグレネード」は誰がブラインド効果を受けているのか分かりにくく、ヤスオは移動が速すぎて見失いがちで、エズリアルのスキルも標的が遠いと途中でエフェクトが消えかかってしまいます。というわけで、総合的には改善できているものの、この点については今後も視認性を最大限高めるべく取り組み続けていきます。

チャンピオンのバランスとゲームデザイン

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同じく前セットからの約束のひとつに、「各ティアのキャリーに満足感が感じられるようチャンピオンとスキルのゲームデザインを改善する」というものがありました。これは最終的には達成できたと考えていますが、残念ながら「常に」というわけにはいきませんでした。具体的には「ギャラクシー」前半に新チャンピオンを追加した際、ティア1(ザヤ/カ=ジックス/ジグス)、ティア2(ダリウス/シン・ジャオ/カイ=サ)、ティア4(ケイル、ヴェル=コズ/ジンクス/ジン)、ティア5(ミス・フォーチュン/ガングプランク/エコー)にはカッコ内で挙げたように強力なユニットが存在したものの、ティア3には現実的なキャリーが存在しなかったのです。当時マスター・イーとシンドラは活躍できる状態になく、それ以外のティア3チャンピオンはほとんどがユーティリティ(支援系)チャンピオンでした。

また「ギャラクシー」後半には、ティア3キャリーチャンピオン(アッシュ/ジェイス/カシオペア/マスター・イー/ランブル/シャコ/シンドラ/ヴェイン)の追加/調整を多数実施し、さらにティア5(エコー/オレリオン・ソル/アーゴット)にも手を加えました。しかしこの時はティア1とティア2で苦戦し、小規模な変更を加えた後もほとんどプレイされない状態となりました。

しかし苦戦した甲斐あってか、最終的には優れた教訓も得られています。「ギャラクシー」を通じて私たちは、各ティアに求められるチャンピオンの条件のようなものをかなり高い精度で把握するに至りました。現時点でも、優れたティア1、3、4、5チャンピオンを作るための条件は深く理解できたと自負できます。優れたティア2チャンピオンの条件とチーム構成における役割については現在も分析中ですが、新セットでは全ティアにプレイしていて楽しく満足感のあるキャリーを揃えていくので楽しみにしていてください(特にプレイの満足感は重視しているポイントです。満足感についてはケイルという不動の王者が存在していますが!)。

大規模特性と小規模特性

今回のセットでは、大規模特性(6ユニット以上の特性)にすべてを賭ける戦略と、複数の小規模特性を組み合わせていく戦略の両方が有効に機能するよう特に注意を払いました。この目標は一部の特性については十分に達成できたと思います。ブレードマスター、インフィルトレーター、ミスティック、プロテクター、スナイパーなどは様々なユニット数や組み合わせでチームに組み込まれました。入手できた/できなかったチャンピオンやアイテムに応じて戦略を変える柔軟なプレイスタイルは、プレイヤーの判断力を試す面白さを生み出してくれました。

一方では、目標を達成できなかった特性も存在します。たとえばサイバネティックは序盤に3体ボーナスを発動する必要があり、その後も6体ボーナスを発動させなければ勝負になりません。バトルキャストも同様の状況でした。また、クロノは大抵のパッチで2体または4体で発動させる特性として用いられ、スターガーディアンは一部のパッチで6体揃わなければ負けという極端な状況に陥っていました。とはいえ、総合的な観点から振り返れば「ギャラクシー」は大筋で良いバランスだったのではないかと考えます。「すべての時間帯ですべての特性が等しく強い」という状態はおそらく実現不可能ですから。ただし私たちは今後もできるだけ多くの特性が、すべての時間帯で一定の活躍をできる状態を作ることで、独創的なチーム編成の可能性を広げていきます。

へら

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最後のトピックは「へら」です。前セット終了時の約束通り、へらは運頼みになりにくい、新たなかたちでドラフトラウンドに復活しました。大部分において、「ギャラクシー」のへらは「エレメントの目覚め」時代のへらよりも良好な状態にあったと考えます。「ギャラクシー」では「次でへらが確実に手に入るから、チーム構成はこうするしかない」というような強制的な流れがなくなり、運良くへらがドラフトラウンドに登場したら「インフィルトレーター イレリア」、「ブレードマスター ゼド」、「プロテクター オレリオン・ソル」など無数の可能性が一気に開けるようになっています。しかもどの組み合わせも強力でこそあるものの、無敵というほど強すぎるわけでもありませんでした。

ただこちらも完璧だったとは言えません。「ギャラクシー」前半には、「デモリッショニストの爆弾(装備者にデモリッショニスト特性を付与するへら派生アイテム)」とオレリオン・ソル/カイ=サの組み合わせが大きな問題になっていました。この組み合わせはチーム構成を強制するものではありませんでしたが、完成させた時の強さが許容範囲をはるかに超えるものだったのです。そこで次のセットでは、へらの出現率はほとんど変更せず、へら派生アイテムの用途と威力を「ギャラクシー」後半に近いものにする予定です。言い換えると、懐かしの「ブレードマスター ノクターン」のような強さではなく、「プロテクター オレリオン・ソル」のようなバランスを目指します。

今後の取り組み

テーマとチャンピオンが背負う物語

テーマという側面から見た場合、「ギャラクシー」は「エレメントの目覚め」よりもずっと上手くいったと考えています。まず、「ギャラクシー」が従来のルーンテラから大きく離れたテーマであったため、プレイヤーの皆さんに「これはLoLのマルチバースのひとつなんだな」と受け入れてもらいやすかったという利点がありました。単にチャンピオンのスキンを変えるだけに留まらずにテーマを作り込んだこと(独自のドラフトラウンド、銀河的アリーナスキン、新録BGMなど)が功を奏したのでしょう。またチャンピオンのオリジンを、サモナーズリフトで馴染みのあるグループ分けではなく「ギャラクシー」世界の物語に基づいて決めたことも良い結果を生み出したと考えます。というわけで今後は、何かにこだわることなくテーマの可能性を探り続けること、そして各テーマの雰囲気をできるだけ明確に描き分けることに注力していきます。これは、ルーンテラを舞台にしたセットを二度と作らない、デフォルトスキンのチャンピオンはもう使わない、という意味ではありません。ルーンテラ的要素とマルチバース要素を混在させるのではなく、セットのテーマに真摯に向き合ってすべてを作り込んでいくという意味です。

システム変更とチャンピオン数

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この点については、システムへの変更はゲームの基礎部分に悪影響を及ぼすという教訓を得ました。パッチ10.6の「ギャラクシー」リリース時には、チャンピオン数を52体に変更した上、ドロップ率、連勝/連敗ボーナス、プレイヤーに対するダメージ量、その他細かな点にも変更を加えていました。しかし各種システム変更は私たちの期待した状態とは程遠く、結果として★3ユニットを作るのが簡単すぎる、序盤戦のプレイヤーに対するダメージが低すぎて全員が安全かつ最速でレベル8を目指してしまう、序盤で連勝を重ねたプレイヤーがそのままスノーボールして(築いたリードをどんどん広げて)圧勝してしまう、といった状況が生じてしまいました。その後パッチ10.7、10.8、10.9と調整を重ねてゲームの基礎システムを安定化させていきましたが、それも十分ではなく、パッチ10.11ではティア1チャンピオンの★3作成を急ぐトレンドが登場しました。

しかも、その後パッチ10.12のミッドセットアップデートでチャンピオンプールを57に増加させるとバランスは再び崩れ、さらにゲームシステムの基礎部分を調整する必要に迫られました。当時はチャンピオンが増加したことで★3完成が著しく困難になった他、特定のチャンピオンを引くのが極めて難しい状況も生じるようになっていました。最終的にはおおむね安定した状態を作れたものの、今後はパッチごとにルールの基礎が一気に変化してしまう状態は何としても避けたいと考えています。

以上を踏まえ、次のセットでは最初から最後までチャンピオン数を58で固定し、セットのリリース後は原則的にゲームシステムの基礎部分を変更しない予定です。たとえばセットに新チャンピオンを追加する際は、同数の既存チャンピオンを削除して58体という数字を維持します。こうすることでゲームシステムの基礎部分(リロール時の出現率、プレイヤーに対するダメージ量など)を安定した状態で維持するわけです。システムの変更が(レベルアップ/リロール連打のタイミングといった)ゲームプレイに極めて重大な影響を与えることは今セットで骨身にしみて理解しました。今後はこの部分を固定とし、パッチが出るたびに「ゲームの最新の遊び方に追いつく」のではなく、戦略を改善していくことに集中できるようにしていきます。

ゲームプレイ要素:各種ギャラクシー

「ギャラクシーシステム」は今セットで特に野心的な取り組みでした。ギャラクシーというゲームプレイ要素は開発チームのゲーム理解度を深めるだけでなく、各ゲームシステム要素の関係性やプレイヤーの皆さんが好む内容を把握する役割も果たしてくれたのです。

とはいえ、一定数のギャラクシーは不人気だったのも事実です。たとえば、「バイナリースター」はサイバネティック特性との相性があれほど優秀でなければ面白いギャラクシーになっていたかもしれません。「準惑星ギャラクシー」も同様で、スーパーメカとプロテクターなど強力な範囲攻撃を持つチーム構成と相性が良すぎました(セット1時代を思い出したプレイヤーも多かったのではないでしょうか)。

これ以外では、「ミディアムレジェンド」や「ミニレジェンド」はプレイヤーの体力調整について、「ライラック星雲」や「流星群ギャラクシー」はドラフトラウンドに登場するチャンピオンを調整した場合に生じる試合の流れの変化について、貴重な知見を得る機会になりました。

もちろん一方では、核となるゲームプレイを一層盛り上げてくれたギャラクシーもあります。素材アイテムが手に入る「ギャラクティックアーモリー」、ゴールドを稼ぎやすい「略奪の惑星」や「宝の山」、無料リロールが毎ラウンド可能な「トレードセクター」などは、ゲームをぐっと面白くする方向に作用しています。また、「超高密度ギャラクシー」は新しいチーム構成をいくつも生み出してくれました。この段落で挙げたギャラクシーはいずれもプレイヤーの皆さんをワクワクさせ、「ギャラクシー」セットに彩りを与えてくれた、と言っても良いでしょう。そんな要素をこのまま捨ててしまうのはもったいないですよね。というわけで、将来的には先に挙げたようなギャラクシーの要素をTFTの恒久的要素として復活させる方向で模索しています。詳細については準備が整い次第お知らせする予定ですので、どうぞお楽しみに!

ドラフトラウンド

「ギャラクシー」では様々な種類のドラフトラウンドを導入しました。たとえば、完成アイテムのみ、攻撃的/防御的素材アイテムのみ、同一アイテムのみ、果ては「へら」のみのものまでありました。反応は私たちの想定した通り賛否両論。展開の異なる試合を生み出したり、記憶に残る瞬間(1セットで1回しか起きないようなビッグプレイなど!)を生み出したりする効果は間違いなくありましたが、同時にプレイヤーから選択肢を奪うという問題も抱えていたのです。

では…ここから得られる教訓とは?まず私たちは、ドラフトラウンドに様々な種類があるのは良いことだと考えています。複数種あることは毎試合同じ構成・戦略を繰り返す行動を予防するからです。しかし実際には私たちの意図とは真逆に作用し、プレイヤーから判断の余地を奪う結果となってしまいました。たとえばドラフトラウンド3回で完成アイテム3個を入手することが分かっていたら、どんな戦略的予測も意味をなさないですよね。

というわけで、今セットではアイテムシステムにおいて、プレイヤー自身が試合を動かす感覚を得ること、自ら判断を下せることがどれほど重要であるかを学びました。求めていない完成アイテムを与えるのは特定の戦略を取れと強制するのと同じです。しかし入手したのが複数の素材アイテムならば様々な選択肢の中から選ぶことができ、自ら試合を動かしていく感覚がより強く持てます。

そこで次のセットでは、すべて完成アイテムのドラフトラウンドを廃止(稀に出現する「すべて自然の力のドラフトラウンド」は継続)し、プレイヤーが自ら判断を下せる余地を常に確保します。また予測可能性の高いドラフトラウンドを導入し、特定のタイミングで取る戦略をあらかじめ計画できるようにしていきます。新セットの詳細についてはPBEリリース後に紹介する予定ですが、今後はぜひ、ドラフトラウンドの内容はある程度予測可能になるという心づもりでプレイしてみてください。

アイテムの柔軟性

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優れたTFTのアイテムは、特定のチャンピオンに装備させた時のワクワク感と、入手してもチーム構成がひとつに固定されてしまわない柔軟性を両立していなくてはなりません。この点これまでの施策は「運任せ」に近かったことは認めざるを得ません。「ジャイアントスレイヤー」など一部ではアイテムの柔軟性を高める修正ができましたが(キャスター系チーム構成でリカーブボウとBFソードばかり集まっても活用できるなど)、上手くいかなかったアイテムも存在します。

このような事態になった主原因は2つあります。ひとつは、特定のチャンピオンと相性が良すぎるアイテムの存在です。たとえばマナを回復する「ブルーバフ」と「ショウジンの矛」は特定のチャンピオンに持たせると凄まじい強さを発揮するため、「このチャンピオンを使うなら必須だ」という感覚が生じます。これは「ブルーバフ」とカシオペアで特に顕著で、「ブルーバフ」なしでは非常に弱いのに、ひとたび装備すると凄まじく強力になります。「ショウジンの矛」ならばアッシュやジャンナが同じ状態でしょう。

ふたつめは、特定の特性と相性が良すぎるアイテムの存在です。プロテクターに「ワーモグアーマー」を与えると、その瞬間に許容範囲を超えるほどの強さを発揮するようになります。特性とアイテムの結びつきが強すぎる組み合わせは、バトルキャストと「レッドバフ」/「モレロノミコン」、ブラスターと「レッドバフ」などこれ以外にも存在します。ただ私たちも、特性のボーナスを最大化するアイテムが存在することは良いことだと考えています(ブレードマスターと「スタティック・シヴ」、ヴァンガードと「ドラゴンクロウ」など)。今後私たちとしては、好相性アイテムがなくても特性が活きる状態を作りたいと考えています。

まとめると、アイテムについては「このチーム構成で勝負するならこのアイテムが必須だ(あるいはその逆)」という感覚が生じないように注意して開発を進めていきます。もちろんすべてのアイテムの影響度を同一にするわけではありませんから「今は他のアイテムよりもアレが欲しい」と感じる状況は今後も出てくるでしょう。私たちが目指すのは、それが入手できるかどうかが決定的な戦力差にならない状況です。

利便性向上

パッチ10.16では、素材アイテムを右クリックすることで完成アイテム候補をチェックできる「アイテムレシピ」機能を追加しました。ようやく来た、と言ったほうが適切かもしれませんが…。これ以外では、同じくずっと要望の多かった各種メーター(軽減したダメージ量やヒール量など)も近日中に追加予定です。正直に申し上げると、私たちはゲーム本体の調整やモバイル版の開発、パスシステムの仕上げを優先し、この種の機能をずっと放置し続けてきました。しかし、ゲームもようやく落ち着き始めてきたので、今後は利便性向上にぐぐっと力を注いでいきます。というわけで、実装して欲しい機能のアイデアや改善案などがあればぜひお知らせください。

バランス調整とパッチの戦略

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最後のトピックはバランス調整戦略です。「ギャラクシー」では非常に良い状態のパッチもいくつかありましたが…そうでもないパッチもありました。パッチ間隔が2週間なのに変更が大量・高頻度だったために、メタを大きく変えることもありました。それがハマった時もありましたが(パッチ10.7)、完全に外したこともありました(パッチ10.14やジャーヴァンⅣパッチ)。ただ結果はどうあれ、これほどの頻度と規模で変更を加えるのはゲームのコア体験に与える影響が大きすぎることは間違いありません。一方で、2週間に一度リリースするパッチで小規模な変更しか行わないよう制限してしまうと、問題の解決に3~4パッチかかるようになってしまうので、それもまた望ましくありません。

そこで今後は、「ギャラクシー」後半のようなパッチ方針へ移行していこうと考えています。新しい方針では、各パッチに1~3個の「大目標」(パッチ10.16なら「使われていないアイテムを改善する」がこれに当たります)を設定し、それ以外の要素については各項目1~2個の小規模な変更に留めます。さらにBパッチの頻度を少し上げて、方向性の微調整に活用していきます。もちろんBパッチは不要であるに越したことはありませんが、万が一の時にピンポイントな対応を可能にしておけばゲーム体験を損なう状況を最小限に抑えることができます。このパッチ/バランス調整方針の変更は新セットでも使用していき、同時に変更内容の意図についてもより詳細にお知らせしていく予定です。この方針が想定したように機能しなければ従来の方針に戻しますが、大多数のプレイヤー体験を長期的に考えれば新方針のほうが健全だろうと現在は考えています。

おわりに

これで振り返りもおしまい、ついに「TFT:ギャラクシー」に別れを告げる時がやってきました。「ギャラクシー」は実に楽しい旅路でしたが、TFT新セットでは一体どんな「宿命」が私たちを待っているのやら…。ここで改めて、TFT開発チームを代表して、いつもプレイしてくださる皆さんに改めて感謝いたします。こんな時代ではありますが、TFTが少しでも皆さんの日常にちょっとした楽しさを届けられていれば幸いです。それではまた次の振り返りでお会いしましょう。さようなら!