/Dev TFT:ミッドセットの終わりに寄せて

Alex Cole、Mort、Rodgerの3人がミッドセットの歴史、果たしてきた役割、そして廃止について語ります。

最後のミッドセット「ホライズン バウンド」が9月13日にリリースされた後、TFTは年間3セット展開の新モデルへ移行します。5ヶ月前の発表では年間3セットモデルへ移行する利点に焦点を絞り、それがいかにして新たなセットコンテンツ、テーマ、独創的なゲーム要素を一層充実させ、TFTプレイヤーのゲーム体験を高めるかについて説明しました。発表時のDev Updateを見逃した方は、そちらもぜひチェックしてみてください!一方、今回の投稿ではミッドセットを廃止する理由に焦点を当て、私たちの理念を深掘りしてみたいと思います。それではお楽しみください。私(Rodger “Riot Prism” Caudill)とAlex “Riot BlueVelvet” Cole、そしてMortの3人が語る「私たちとミッドセットの複雑な関係」のお話です。

TFTの開発チームにおける時間の単位は、年ではなくセットです。私たちはセット単位でものを考え、経過時間を数えます。今回ミッドセットの歴史を語るのは、まず9セットすべてに携わってきた、我らが愛すべきゲームデザインディレクターMort。そしてまだ2セット齢(なんて若さだ!)ながらTFT開発チームの全ポッド(セット単位で構成されるチーム)の管理を担うゲームプレイプロダクトリードのAlex。最後にTFTのマーケティング、ライブバランス、イベント、カスタマイズアイテムなど全チームと協力して「物書き」仕事全般を担当する私です。私はセット4からの参加なので、TFT幼稚園児(5セット齢)といったところでしょうか。では話者紹介も済んだのでさっそく始めましょう。「/Dev TFT」、今回もスタートです!


ミッドセットの誕生:星への帰還

Mort:「エレメントの目覚め」の頃はコンテンツを小出しする作戦だったね。数週ごとに新チャンピオンや特性を少しずつ追加していくような(「エレメントの目覚め」のソウルバウンドなど)。当初はそうすることでセットの目新しさを維持できると考えていた。でも新チャンピオンを数体追加してもインパクトが小さすぎて、結局プレイヤーをワクワクさせることができなかった。実際、プレイヤーの感情面やプレイ時間などのデータ上でもインパクトはほぼ皆無だったからね。しかし、プレイヤーはどんどんセットを攻略していくので、大幅なアップデートは絶対に必要だった。そこで小出しにするのをやめ、まとめてコンテンツを出すことにした。そうして「ギャラクシー」で初のミッドセット「星への帰還」が生まれた。

凶悪な作業量になることは一瞬で分かった。社内事情の話になるけれど、「星への帰還」は規模の大きさに反して時間があまりないミッドセットだった。当時はチームの規模も小さかったし、複数プロジェクトに分かれていた。それでも僕らは──TFT開発チームの伝統芸みたいなものだけど──「大きなリスク」を背負いにいった。その典型がバードのようなユニットだね。

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AlexとRodger、バードのあまりの尊さに卒倒しかける

バードはスキルを発動するたびにベンチにミィプを出現させ、さらに通常攻撃はマナを付与した。そういうチャンピオンを作ったのはバードが初だったけど、正直6セットを経た今でも驚くほど個性的だ。ものすごい労力がかかったけどね。バードとミィプはRiot Wittrockが担当したんだけど、ティア3チャンピオン1体のために新機能をゼロから実装する必要があった。その時の機能は今でも活用されている。とはいえインパクトの大きさという点では、チャンピオンと特性だけでセット固有要素と肩を並べることはできないことは明白だった。だから「星への帰還」では、チャンピオンの大幅入れ替えという難題に取り組む傍らで、セット固有要素「ギャラクシー」にも手を加えたかった。あれは今の地域ポータルにも似ていたね(ただし洗練されておらず、選択投票もできなかった)。

ゲームデザインでは残すべきギャラクシーの絞り込みにかなりの時間を費やした。「ベストヒット」8個を選出し、そこに並べても良いものを新ギャラクシーとして追加していった。たとえば「ライラック星雲」(最初のドラフトラウンドがティア4ユニットだけになる)はここで削除した。

Alex:「ライラック星雲」はかなり心を折るタイプのギャラクシーだったね。他のプレイヤーがそれなりのティア4キャリーを獲得しているのに自分はソラカだったりすると、敗退一直線だった。ライラック星雲があまりに運任せだから、あのセットをプレイするのを止めかけたくらい。

Mort:ああ、確かにあれは最初のドラフトラウンドの影響度が大きすぎた。そして、「ライラック星雲」を含むギャラクシーを改修・洗練していく過程で、ミッドセットの存在意義を「核となるセット固有要素を改良する機会」と捉えるようになった。後で触れるけど、この発見が後に与えた影響は大きかった。

Rodger:確かに「獣たちの宴」でもそうだったね。あれはファンの一番人気だった。では続いて…


一番人気だったミッドセット:獣たちの宴

Rodger:「宿命」のミッドセット「獣たちの宴」は過去もっとも人気が高かったけど、あれは本当に内容が盛りだくさんだったからだよね。22体のチャンピオンを入れ替えて、イカサマダイス、磁力式除去装置、再合成装置、ダミー、オーンのアーティファクト、ティア5アジール、セット固有ミニ要素「幸運のランタン」を追加し、セット固有要素「選ばれし者」もパッチ毎に改良を続けていったわけだから。

Mort:確かに特盛りだった。中でも大きな教訓となったのはセット固有ミニ要素の「幸運のランタン」だったと思う。あそこで初めて、プレイヤーに「少し余分にキャンディーを用意する」行為は好意的に受け取られることが多いと学んだ。試合の幅を拡げ、シンプルに強化する内容だったのも良かった。加えて多数のチャンピオンもアップデートしたけど、あのミッドセットの影の立役者は「選ばれし者」だったよね。セット固有要素としてはオーグメントと並ぶ人気かもしれない。

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Rodger:当時「選ばれし者」をプレイしていなかった人に向けて説明すると、これはショップの出現ユニットがランダムに「選ばれし者」となって★2で登場し、さらにボードに配置すると所持特性のひとつが+1されるというものだった。どのユニットが「選ばれる」のかはプレイヤー側からほぼ干渉できなかったので、試合展開のバリエーションがぐっと広がった。セット終盤にはもう少し安定するように調整していくことになったけれど。

Alex:確かに「選ばれし者」は最初から良くて、しかも「宿命」終盤に向けて改善され続けていったよね。

Mort:ああ。ただ後で「モンスターアタック!」(セット8)を取り上げる時にも触れるけど、そういうゲーム体験の改善は別にミッドセットじゃなくてもできるんだよね。「選ばれし者」の時にはセット固有要素自体の変更とゲーム体験の向上施策を以前よりも小さく頻繁に入れるようになった。実際あの時はセット固有要素の細かな調整を、プレイヤーがシステムに習熟していく(その結果壊していく)のに合わせ、数パッチかけて段階的に導入したよね。

Alex:それは結果にも表れているね。プレイヤーに一番好きな/思い出深いセット固有要素を聞くと、「選ばれし者」は圧倒的一位だ。だから「獣たちの宴」の愛されっぷりも納得できる。凄まじい量の新コンテンツに加えて、より洗練された「選ばれし者」まで揃っていたわけだから。

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Rodger:「獣たちの宴」の制作当時ってどんな感じだったの?

Mort:そうだな…「星への帰還」では多少なりとも変化を起こせたから、「宿命」でも同じことをより大規模にやろうと考えていた。TFTチームは身の丈以上の規模を目指しがちな傾向があるけれど、あれは「超巨大ミッドセットを作るとしたらどんなものか?」という問いに対する僕らの答えだったと思う。しかもあの時はそれなりの人数が確保できたんだよね。「レコニング」の開発チームは結成済みでセット固有要素の「オーグメント」にも着手していたんだけど(詳しくは後ほど)、「ギズモ&ガジェット」に割り当てられるはずのメンバーはまだ「宿命」セットに残っていた。おかげで「獣たちの宴」の開発では結構な数のメンバーを確保でき、それがより大規模なミッドセットの開発を可能にし、それがたまたま功を奏した感じ。ただ、ミッドセットの開発に毎回この規模のチームは揃えられない。それは確かだったし、以後のセットで一層明白になったと思う。

セットをリワークする:希望の光

Mort:「希望の光」の凄まじさを語ろうと思ったら、まず「レコニング」の話をする必要があるね。「レコニング」のセット固有要素が当初「オーグメント」だった話を知っている人はいるかな。実は「レコニング」開発初期の数週間は「オーグメント」をセット固有要素にするつもりで進めていたんだ。でも…TFTとライアットには「Arcane」という一大イベントも迫っていた。それには大掛かりでテーマに合致するセット固有要素が必要で…そこで「ヘクステック オーグメント」に白羽の矢が立った。

Rodger:そしてジェンガ嫌いがジェンガを意図的に崩すみたいに、僕らは新セットの最重要要素、セットを支えていた屋台骨を引っこ抜くことになった。さてどうしよう?って感じだったね。

Alex:待って、ジェンガが嫌いな人っているの?なんで?


Mort:ともかく、僕らはオーグメントを削除し、替わりにTFT史上最も不人気なセット固有要素「シャドウアイテム」を据えた。このセットにはいくつかとてもクールな要素(悪鬼、アボミネーション、アーマリー)があって、それらがある程度まで短所を埋めてくれたけど、それでも十分じゃなかった。「シャドウアイテム」は複雑すぎたし、率直に言って楽しくなかった。こうした「祝福と呪いを併せ持つ」ゲーム要素は社内でも──やや自虐ネタ的に──原則的に避けるべきものとしているけれど、一方で「犠牲的な協約」や「地獄の契約」といったオーグメントのように、プレイヤーが自ら選択できる場合は例外としている。

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Rodger:「レコニング」(直訳で天罰)はまさに天罰だったよね。ティーモを購入するタクティシャンの体力みたいに、恐ろしい勢いでプレイヤー数が減少していった(このセットのティーモはゴールドの代わりに体力で購入するレジェンダリーユニットでした)。「獣たちの宴」の直後にはアクティブプレイヤー人数が歴代最高クラスまで上がっていたのに、「レコニング」がリリースされた直後からは急降下だった。

Mort: 当時のミーティングは本当に辛かったね。みんな抜本的な変更が必要だと分かっていた。詩的ですらあったよね。陰鬱なテーマの「レコニング」が、先の見えない恐怖みたいな空気を社内にもたらしていた。その空気に個人的な責任を感じずにはいられなかったし、前に踏み出して色々と修正するにも足が重かった。

Rodger:でも、前に踏み出した。ミッドセット「希望の光」でレディアントアイテムと神々の祝福を実装した。今でもミニゲーム要素としては最高クラスの人気があるよね。

Mort:レディアントアイテムの計画はずっとあったんだよね。当初はシャドウアイテムと同様、レディアントな素材アイテムを使ってアイテムを作るとレディアントアイテムが作れる仕様だった。


Rodger:そうそう!そのあたりの仕様についてプレスリリースを書いたのを覚えてる。レディアント素材アイテムとシャドウ素材アイテムを組み合わせると浄化できる!みたいなやつ。でもシャドウアイテムに対するコミュニティーのフィードバックを受けて止めたんだよね。

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Mort:そう。ここで再び奇数ポッド(この時のTFTチームはポッドが2つあり、奇数セットと偶数セット担当に分かれていた)は大役を任され、セット固有要素を完全に作り直すことになった。ここで僕らは、セット固有要素をただ増やすのではなく、減らした。そして「レコニング」のフィードバックを読んでいた僕らは、次は絶対に「楽しい」ものにする必要があると考えていた。

Rodger:そして実現したよね!「レコニング」を生き延びたプレイヤーに、完全新規レベルのセット固有要素と驚くほど新鮮なミッドセットをプレゼントできた。ただしセット固有要素に注力した代償として、チャンピオンの入れ替えは少なくなったけど。

Mort:4セットが経った今もレディアントアイテムが残ってるのには、やっぱり理由がある。シンプルな戦力強化なのに活用バリエーションが幅広い。ただそれを作り込むのに時間と労力を集中させたから、あのミッドセットのチャンピオン/特性は大型特性をひとつ入れ替えるのが精一杯だった。でも一番のポイントは、それほどの労力をかけて「レコニング」を救おうとしたのに、結果的にはほぼ無意味だったことかな。

シャドウアイテムで離脱したプレイヤーは戻ってこなかった。ミッドセットの情報を見ても、前セットの数試合を思い出して復帰する意欲を失ってしまっていた。新セット並みの規模でミッドセットをリリースしても、「希望の光」で上質なゲーム体験を提供しても、「レコニング」のダメージがあまりに大きくてプレイヤーの復帰には繋がらなかったんだ。

過ち、そしてシルコ:ネオンナイト

Mort: 「ネオンナイト」の規模はミッドセット最大だった。20体以上のチャンピオンを入れ替え、80以上の新オーグメントを追加している。でもその代償として再登場チャンピオンが増え、あまりワクワクしない特性を足すことになってしまった。「ネオンナイト」では時間とリソースの制約を特に感じたね。「獣たちの宴」の時のような人数はいなかったから。ただそうした厳しい状況の中でも、僕らは過ちから、その後のミッドセットにも活きる重要な教訓を学べたと思う。

「ネオンナイト」ではドレイヴン、アーゴット、フィオラといった個性的なチャンピオンたちを外したけど、代わりに入ったのはシヴィア、ルシアン、セジュアニ、ジャーヴァンⅣといった再登場チャンピオンたちだった。

でも、この時はシルコも追加した。あれはTFTにとって大きな一歩だったと思う。ゲーム要素のクオリティーについては議論の余地が残るかもしれないけど、彼を登場させられたのは本当にクールだった。

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Rodger:多分シルコだけで記事が一本書けるよね。でも物語性の高いセットで再登場させられて嬉しいな。しかし、シルコのリリースは本当に大変だった。ボイスはJason Spisak氏(英語版)の録り下ろしだったけど、台本書きのスケジュールは厳しかったし、収録はなお一層厳しかった。それでもミッドセットのリリースには間に合わなくて、結局入ったのは丸々2パッチ後だったよね。いずれにせよシルコは登場し、Jason Spisak氏のセリフも入った。あれは何というか…僕らが、TFTがハンドルを握った感覚があった。ああいう事柄の進め方を学ぶのは将来的にも有用だし、僕らがクリエイティブなアイデアを先導していく上で重要だと思うな。

ソームとリソース:アンチャーテッド レルム

Alex:僕が開発に参加したのは「ドラゴンランド」のセット中だったんだけど、確かあの頃に年間3セット展開の新モデルに移行し始めたんだよね。「ドラゴンランド」のチームがミッドセットを終え、セット10に着手したのが新モデルの始まりだった。とはいえ、残りのミッドセットは従来通りのスケジュール(約3ヶ月)で制作していた。「アンチャーテッド レルム」では色々やったよね。ドラゴンをリワークし、混沌と秩序の宝物龍を追加し、史上最大級のインパクトを持つ特性をふたつ(ラグーンとダークフライト)リリースした。

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それだけでも大変だったのに、あのミッドセットではゲームプレイの課題に取り組み続けることになった。ラグーンはリワークが6回必要だったし、ダークフライトも…控えめに言って、とても複雑だった。

Rodger:しかもソームもいた。TFT初の、ゼロから作ったオリジナルユニットだ。


Alex:確かに!「ドラゴンランド」をリリースした頃に作り始めたんだよね。水龍というコンセプトはかなり早い段階で決まっていたんだけど、コンセプトアートが上がってくるまで具体的な姿かたちは見えてなかった。

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ただキャラクター制作からリリースまでの話でいえば、ソームはあのミッドセットで一番楽なユニットだったよね。スキルも何度かイテレーション(試行錯誤サイクル)を回したくらいで、「潮の開花」の弾むリズムができた時にすぐこれだ!と思えた。もっと上手くプロモーションしてあげたかった、というのが反省点かな。カイ=サの水龍か、別の既存の水系ドラゴンだと思われてしまったから。あれがTFT初の完全新規ユニットだったって気づいていたプレイヤーは多くなかったでしょう。

セット固有要素を途中でアップデート:グリッチド アウト!

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Mort:この頃になると、過去セットで固有要素のネタをかなり使っていたので新しいアイデアを出すのも苦しくなっていた。新オーグメントを追加するだけじゃ足りないのは明白だったし。そこで僕らは、ミッドセットを新しいセット固有要素の可能性を探る場として活用するようになっていった。複数アイテムが回るドラフトラウンドの案は長い間温めてきたものだったけど、「グリッチド アウト!」はそれを試す絶好の機会になった。結局かなり軽めの要素と受け取られたけどね。実際、多くのプレイヤーにとって「グリッチド アウト!」の第一印象は「小さい」だったし。それまでのミッドセットで新規要素を追加し続けてきたから期待の水準が上がっていたんだと思う。プレイヤーが求めるものは、新しいセット固有要素であり、新チャンピオンだ。それらが実現できないなら、どうしてミッドセットをやるんだ?という話。

Rodger:一方で「モンスターアタック!」の終盤ごろに2人と通話したときのことは覚えているよ。セット全体に凄まじい影響を与え、多くのプレイヤーに愛されることになったアイテム出現仕様とヒーローオーグメントシステムの変更(4回のリロールとバッドラックプロテクション)の時だ。ドラフトラウンドで獲得したアイテムが自動的に外れる変更(ミッドセットで導入)よりも影響は大きかったんじゃないかな。

Mort:そうだね。結局かなり大きなプレイ体験向上の施策を2つ、ミッドセットの2パッチ前にリリースすることになった。この2つはミッドセットまで取っておき、スケール感の演出に使うこともできたと思う。過去のミッドセットでセット固有要素を改良した時みたいにね(例:「ドラゴンランド」におけるドラゴン特性のリワーク)。でもそうしなかった。ゲームをより早く改善する機会があるのに見過ごすなんてできなかったから。

Alex:それこそが、ミッドセットモデルの終わりに僕らが学ぶべき教訓だ。僕らはたった1パッチでゲームプレイを抜本的に変化させられる。1パッチでメタを救い、セット固有要素をリワークし、プレイヤー体験を大幅に改善できる、と。Mortと僕の2人は行動を起こすことにかなり積極的だと思う。僕らは実験的な行動であってもまず動き、そして即座に修正していくことを好むから。行動しないよりもね。早めにリリースできるならリリースする。ミッドセットまで待つ必要なんてない。

個人的に「グリッチド アウト!」は、大幅に洗練された「モンスターアタック!」だったと思っている。まずヒーローオーグメントにリロールを導入した。クールなキャリーチャンピオンも入った。そしてドラフトラウンドも改善された。あれはTFTの未来にとって有益な進化だったと思う。アイテムが外れるようになり、一部の地域ポータルにも影響を与えた。総合評価ではかなり充実したミッドセットになったよね。最終パッチまでプレイし続けてくれたプレイヤーの数も多かったし、未来のセットに引き継がれる変更もあったわけだから。

最後のミッドセット:ホライズン バウンド

Rodger:さて、こうしてミッドセットの変更がTFTを進化させ、我々はホライズン(水平線)をバウンド(目指)して出帆するわけですが…

Mort:(悶えるように頭を抱えて)本当にその導入要る?…確かにアイテムシステムのリワークは長らく考えていたことだった。開幕でクロークとベルトが落ちて「さてどうしたもんか」と頭を抱えたことは誰にでもあるでしょう。僕らはアイテムシステムを長期的な視点で洗練していきたいと考えていて、「ホライズン バウンド」は着手するのに絶好の機会に思えた。ゲームデザインもしっかり練れるし、プレイテストも重ねられるから。

タイミング的にもミッドセットを一層華々しくしてくれる。もちろん新チャンピオンも登場するし、新しい地域ポータルもいくつか加わる。僕らも力を注いで作ってきたから楽しんでほしいけど、未来を見据えたアイテムシステムのリワーク/再設計は殊更に重要なことだと思う。アイテムシステムの改善が必要な理由について語りだしたら長くなるし、今回はそういうテーマじゃないから割愛するけれど、ここでの本題は、「最後のミッドセットはTFTに長らく求められていた長期的な改善策をリリースする機会になった」ということじゃないかな。

Rodger:まさに。さて、ここまでミッドセットとの複雑な関係について話してきたわけだけど、まだひとつ触れていない話題があるね。Alex、「ホライズン バウンド」との関係は他のミッドセットとは違ったかな?


Alex:正直、変わってない。旧世界最後のセットだからね。年間3セットの長期スケジュールに移行していない最後のポッド。ここまでが「みにくいアヒルの子」フェーズなんだと思う。制作時間の点でセット10と競合していたから、やっぱりしんどい。でもこれを最後に、TFT開発チームの3ポッドは新モデルに完全移行する。セットの掛け持ちで頭を切り替える必要もなくなるし、ゲームデザイナーがセットにかけられる時間も丸々3ヶ月長くなるからね。


こうしてTFT開発史を振り返ってみると、やはり色々な学びがあります。ミッドセットは誕生以来、進化を重ねてきました。当初は皆さんのフィードバックをしっかりと──想定外の規模で──反映する機会として機能していましたが、最近は皆さんお気づきの通り、そうした変更はミッドセットを待たずに実装されることが増えてきました。かつてはミッドセットの価値だったものが、それに伴う困難と切り離されたわけです。開発チーム一同、年間3セットモデルが生み出す新たなTFTの未来を心から楽しみにしています。きっと「ホライズン バウンド」は最後の道標として、そんな未来へと私たちを導いてくれることでしょう。

「ホライズン バウンド」の詳細についてはゲームプレイ概要記事をご覧ください。それではミッドセットがリリースされる9月13日に、コンバージェンスで会いましょう!